バスケットボール選手の怪我で最も多いのが足関節捻挫です。
ではどのように競技復帰していくかです。
チームによってはアスレティックトレーナーや理学療法士がいてリハビリの流れをプログラムしてくれる環境の選手もいれば、サポートしてくれる方がいなく何を行えばいいのかわからないという方も多くいるかと思われます。
今回は簡単ではありますが、基本的なバスケットボールにおいての競技復帰までの流れを記し、プロチームではどのような流れで行なっているのかも紹介していきます。
バスケットボール選手にとっては明確となるかと思いますが、他競技の選手にとってもベースは同じ考えで大丈夫なので自分の競技に当てはめて参考にしていただければと思います。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして24年間活動しています。
日本代表でもトレーナーとして3年間活動しました、学生も各カテゴリー対応してきた実績がありますので参考になるかと思います。
足関節捻挫といっても痛みの部位や症状損傷レベルも軽傷から重症とあります。
・どこが問題となっているのか?
・問題となっている原因は何か?
・原因に対する解決策は何か?
・再受傷しないようにするには今後どうすべきか?
上記の点を把握することはとても重要となりますのでご自身でわからないことはやはり専門家に相談したり、病院にて診察や検査をすべきだということが競技復帰に際しては近道となります。
【結論】
・競技復帰をより早期に確実に復帰するには病院で診察/検査して状況の把握を行うこと
・リハビリをしっかり行うことで怪我への対応力とパフォーマンス向上にもつながる
・急性期/亜急性期/慢性期によって行うことも変化していく
・バスケは感覚も大切なので痛みがなくできることは実施して感覚を損なわないようにする
・競技特性のステップなど段階的にできることを増やしてバスケのスキルワークアウトに繋げる
・チーム合流にも段階的に合流して悪化させないように日々向上させるようにする
それでは解説していきます。
バスケで多い足関節捻挫

足関節捻挫でもバスケットボールで多いのが足首が内側に入ってしまう内反捻挫(ないはんねんざ)が最も多いのが特徴です。
足関節の構造上で外側には外くるぶしを構成している腓骨があり外反(がいはん)はしにくい構造となっています。
バスケットボールでも多いのが人の足の上に着地してしまい捻挫してしまうケースも多いタイプとなります。
足関節捻挫は靭帯へのダメージが起こりますが、骨や筋肉にも影響を及ぼすこともあり、捻挫の仕方や個人差もありますが、同じ足関節の捻挫でもさまざまな症状と痛みの部位と機能低下を招くことでアプローチも変わっていきます。
バスケで多い内反捻挫
バスケットボールでも捻挫の受傷の仕方はさまざまあります。
・自分自身でバランスを崩して受傷
・スリップして受傷
・着地にて受傷
・切り返し動作時に受傷
・足に引っかかって受傷
・足を踏まれて受傷
・接触して受傷
このようにバスケットボールでもさまざまな形で発生してしまいます。
その中でも圧倒的に多いのが内反捻挫となり、前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)へのダメージとなります。
足を反って捻挫する
特殊な捻挫のタイプとして足関節がしっかり反った状態で捻挫をすると前脛腓靭帯(ぜんけいひじんたい)へのダメージとなります。
通常足関節がしっかり曲がっていると(背屈位)足関節は構造上安定感があり捻挫しにくい形となります。
しかし、足の上に着地してしまったりと不安定な状況では背屈位でも捻挫をしてしまい、前脛腓靭帯へのダメージとなってしまいます。
ここを痛めてしまうと痛みが長引いてしまう傾向となります。
通常の歩行でも靱帯に負担がかかってしまうためにダメージストレスがかかってしまうので痛みが引きにくく、運動していない際でもテーピングを装着して負担を極力軽減させる必要があります。
捻挫によるボーンブルーズ
ボーンブルーズは骨挫傷といいますが、何度も捻挫をした経験があると捻挫をした際に前距腓靱帯が緩んでいるために、内側で骨同士がぶつかってしまい打撲をしてしまうということです。
骨に強い外力が加わると痛みが長期的に出てしまい、なかなか踏ん張りが効かないなどの症状も出てしまいます。
何度も繰り返し捻挫をしている選手は、本来であれば内反捻挫をした際に外側に痛みが出ますが、外側が緩い為に内側で骨がぶつかって骨挫傷を起こして内側に痛みが出ることが比較的多いこともあるわけです。
外側も内側も痛みが出ることもあり、特にくるぶしの後方に出るような痛みは筋肉の柔軟性低下や機能不全を起こすケースもあります。
さらに足関節の使いすぎによって骨に棘(とげ)ができてしまうこともあり、痛みや後遺症としても発展してしまうケースもあります。
手術適応の症状

足関節捻挫で手術をするケースとしては
・骨折を伴ってしまった際
・後遺症として骨棘(こつきょく)ができて痛みやパフォーマンスに影響する際
・遊離体が関節面に入り込んでしまって痛みが軽減しない際
・滑膜炎となり炎症症状が強く関節内をクリーニングする際
・その他特殊な症例
上記のような際に手術適応となります。
基本的に靱帯再腱ための手術は実施せずに保存で対応することが圧倒的に多いわけです。
バスケットボール選手は足関節捻挫はよく起こってしまう怪我の一つであり再腱しても再断裂のリスクもあるので実施しなくてもリハビリとテーピングを機能的に巻くことで十分対応できています。
リハビリの重要性
リハビリをしっかり行わないとプレイ中に以下のよう感覚が残ってしまって思ったようなパフォーマンスが発揮できない状態となってしまいます。
・痛みが取れない
・力が入らない
・不安定感が残る
・前のようにプレイできない
・中途半端な状態でプレイし続けている
・また怪我しないか不安要素がある
大会や大事な試合などで無理してやらなければならない時もあるかと思いますが、その中でも最善を尽くして、正しいアプローチを行なって効率よく実行して回復させていくことです。
さらに言えば、足関節の捻挫の回復だけでなく、休んでいた期間のスタミナを戻すこと、バスケットボールの感覚、チームメイトとのコンビネーション、ゲーム感覚と仕上げていかなければならず、競技復帰しても復帰することが目的ではなく、よりベストパフォーマンスを発揮してチームに貢献する事、自分の競技力向上につながるように仕上げていく必要があります。
捻挫した直後の対応

捻挫をした際にいかに速やかに応急処置をするかが競技復帰に際して早期復帰できるか影響し、対応の仕方によっては1週間以上復帰が長引いてしまうこともあります。
RICE処置
応急処置の基本的な考え方としてはRICE処置を実施することです。
Rest(安静)・・・捻挫をしたら安静にする
Ice(冷却)・・・患部を冷やして炎症反応を抑える
Compression(圧迫)・・・圧迫して腫れを抑える
Elevation(挙上)・・・心臓より患部を高くして血流(静脈)の戻りを促す
そのほかの応急処置としても
・PRICE処置
・POLICE処置
・PEACE & LOVE
といった応急処置の方法もあります。
詳細はこちらを参考に↓↓↓
>>応急処置の仕方で復帰が早くなる!!足関節捻挫後の対応方法
腫れに対するアプローチ

捻挫をすることで組織も損傷し、血管も損傷することで内出血も起こります。しかし血管はすぐに修復されるので外に出てしまったものが元に戻れなくなってしまい腫れとして止まってしまいます。
腫れが出てしまうことで細胞にも浸透して組織の壊死が起こることで機能不全となってしまいます。
いかに腫れを抑えるかということが組織へのダメージを抑えることとなり、回復に大きく影響するわけです。
損傷がひどいと腫れが広がり足の指まで膨らんでしまいます。
応急処置にて腫れを抑えるために圧迫して患部を挙上することはとても重要な処置となります。
関節可動域改善

捻挫をすることで組織の損傷や筋肉にも影響が出てしまい、動きの制限がかかってしまいます。
だからと言って受傷直後から可動域制限を起こさないように動かしてしまうと損傷部位が広がってしまい、血流を良くしてしまう事によって出血を広げてしまう恐れもあるため安静にする必要があるわけです。
軽傷の場合であれば腫れ自体起こらない程度なら動きを出すこともあります。
ただし通常の歩行ができないレベルであれば安静が優先すべき点となるため、関節可動域制限がどうしても起こってしまいます。
関節の可動域が出なければ通常の歩行も困難となり、階段の昇降でも痛みが出てしまうので、とても競技できるレベルではなくなってしまいます。
いかに腫れを抑えて可動域を確保するかという点がポイントとなります。
しかし、リハビリの初期では痛みを最優先して患部に負担をかけてまで可動域を作ることも悪影響となるため、徐々に改善していく必要性があるのでバスケットボールができるようになるまでは時間がかかってしまうわけです。
筋力強化

足関節捻挫をしてしまうと明らかに筋力の低下が出てしまいます。
痛めた部位によってどの方向で筋力が不十分かは異なりますが、明らかに片足でのバランス力は低下してしまいます。
特に片足でのコントロール時にいつも通りの力が入らず脱力してしまうとバスケットボールのストップ、ターン、カッティング、ピボットなどの競技特性の動きで痛みが出たり、力が入らないということにつながります。
そのため、筋力を回復させるための強化や動きづくり耐性を作っていく必要があります。
筋肉の働きにも3パターンあります。
・アイソメトリック・・・関節を固定した状態で力発揮する筋肉の使い方(安定感)
・コンセントリック・・・筋肉を縮ませながら力発揮する使い方(パフォーマンス)
・エキセントリック・・・筋肉が伸ばされながら耐える使い方(防御)
筋力もさまざまな強化方法があるのであなたのプレイスタイルに対応した方法を実施すると良いです。
競技での問題改善
足関節捻挫で復帰に際して問題となりやすい点としては
・ジャンプの踏み切り時と着地時
・カーブ(右足の場合右カーブ、左のレイアップ)
・片足でのコントロール
・サイドステップの切り返し
・クロスオーバーステップ
・コンタクト時
などが足関節捻挫によって影響が出てしまいます。
いかにリハビリを行なって強化し、バスケットボールのコート上でさらに動きを改善していき、競技復帰していくかという点になります。
足関節のリハビリだけ行えれば競技復帰できるわけでなく、感覚、スタミナ、全身のトレーニング、チームメイトとの合わせも必要となってきます。
足関節に負担がかからなくできることはたくさんあるかと思います。
ボールハンドリング、パス、シュート感覚も痛みが出ないレベルであれば大切な点となり、バスケットボールは競技感覚やゲーム感覚が遠ざかることでなくなってしまいイメージ通りにはできないことがあります。
バスケットボールの感覚をいかに損なわないようにするかという事もとても重要な点となります。
リハビリの基本ステップ

リハビリに際して怪我は期分けができます
・急性期(48時間程度/熱感が強い時期)
・亜急性期(+2〜3日程度/炎症が治り痛みも軽減)
・慢性期(それ以降回復期)
リハビリの段階として
1.非荷重での運動と可動域改善(床やベッドなどでの運動)
2.半荷重での運動(椅子に座って少し荷重させる)
3.荷重(立った状態で体重をかける 自重/負荷)
4.走行(歩行/ジョギング/ランニング/スキップ/スプリント/カーブ)
5.ジャンプ(スクワット/ランジ/階段/ジャンプ 両足から片足)
6.アジリティー(ステップ/ストップ/カッティング/ターン/スピン)
7.身体接触(バランス/コンタクト)
8.競技ファンダメンタル (ドリブル/パス/シュート/ディフェンス)
大雑把ですがこのような流れで1-3にてリハビリとして強化していきます。
4からはコート上でのアスレティックリハビリとして動きづくりと痛みや問題の誘発を確認します。
8は問題ない動きは実施して競技感覚を損なわないようにしながら強度も高めていきます。
基本的な考えとして痛みを基準として痛みが出ることは無理して行わないことが前提となります。
急性期
捻挫の受傷をした際はRICE処置等の応急処置をして炎症が鎮まる為に対応する必要があります。
そして、医療機関を受診して骨折等ないか検査や診察をしてもらうことで誤診を防ぐことができ、安心感や復帰の方針が見えてきます。
ただし例外としては軽傷の捻挫で腫れもないレベルであれば積極的に痛みが出ない範囲での可動域を改善するリハビリをスタートしても良いでしょう。この辺りは判断が難しい点もあるので一度専門家に対応してもらうと良いです。
亜急性期

48時間経過してくれば炎症も落ち着く頃となり、腫れに対してもアプローチや可動域改善のリハビリを開始していきます。
痛みを基準として、まずは非荷重から実施して半荷重、荷重と段階的に負荷をかけていきます。
何が問題となるか、どの動作で痛みが出るのかを知ることで問題となっている原因に対して改善策としてアプローチできるようになるため、一つづつ動きや筋力を確認していくと明確になってきます。
歩行改善
さらに数日経つと慢性期となって炎症も落ち着くので積極的に動かしていき可動域改善を行なっていきます。
荷重での段階から歩行訓練やジョギング、ランニング、スキップなどにレベルアップさせていきます。
痛みを基準として問題ない動きの種類を増やしていくことで競技へ近づけていくイメージです。
両足荷重
バスケットボールだけでなくスポーツの基本動作としてスクワットやパワーポジションがありますが、まずは両足での動作は体重も分散できるので動きづくりしやすい動作となり、運動の土台となる部分の確立をすると足関節周囲の強化だけでなく、バスケットボールでのドリブルなど静止したレベルでできることも増えていきます。
片足荷重

片足でコントロールできるとステップにつながっていきます。
片足で立つだけでもバランス感覚が低下しているので良い筋肉の協調性のトレーニングとなります。
ランジ動作など片足でのコントロールができるようになるとステップやジャンプへも発展していきますので、最終的にはランニングステップであるレイアップシュートに繋げていけます。
片足でコントロールする際に階段の昇降は結構負担となってきますので、可動域が確保されていないと日常生活でも負担がかかってしまうわけです。
いかに荷重する前に可動域を確保しておくかによって痛みの出現が影響してきます。
オンコートリハビリ
リハビリは自宅でもどこでもできますが、バスケットボールの動作に繋げていくにはシューズを履いてバスケットコートでアスレティックリハビリテーションを行えるとどんどん改善してできることが増えていきます。
なかなか体育館が時間での制限があったりと使えないケースもあるかと思います。
しかし、コートサイドや体育館のステージや空きスペースでもランニングやフットワーク、アジリティなどできることはたくさんあるのでチーム練習中にただ見学しているだけやタイマーなどチームの雑用よりもより早期復帰するためのトレーニングやリハビリに時間を有効活用してほしく、復帰時期も最短でできるかはこの辺りの精度によってきます。
アジリティ獲得
足関節捻挫後は動きや反応が悪く、ちょっと良くなったからとすぐにチーム練習に合流してもスピードや反応に対応できないことがあります。
バスケットボールの場合まずやるべきことは
オフェンスの動き作り > ディフェンスの動きづくり
オフェンスは自分の意思である程度コントロールできますが、ディフェンスは相手の動きに反応しなくてはなりません。
そのため難易度が高くなるわけです。
色々なフットワークにて基礎的な動きの向上を行なって、競技特性のオフェンス動作を確認して、それからディフェンスフットワークの反応系へ移行していくとスムーズに調子も上がっていきます。
ジャンプ動作

ジャンプには段階があります。
・スクワット
・カーフレイズ
・コンビネーションカーフレイズ
・ジャンプの踏み切り
・ジャンプの着地
・片足踏み切り
・片足着地
など簡単に記すと上記のようにステップアップしていきます。
ジャンプできるようにするには特に関節の可動域が獲得されていないと痛みが出てしまいますので可動域改善がとても重要となります。
・背屈制限・・・踏み込み時/着地時に痛みが出やすい
・底屈制限・・・踏み切り時に痛みが出やすい
競技特性
バスケットボール切り返し動作も多く、急な加速からの減速も必要となります。
特にシュート時はトップスピードをいかにコントロールして減速させてバランスを取れるかがシュート確率に大きな影響をします。
・クロスオーバーステップ
・ギャロップステップ
・ユーロステップ
・ステップバック
・ピボット
・スピンムーブ
・コンタクト
このようなステップなどでは関節面に対して複合的に捻れを伴う動作となります。
そのために機能的にも回復していないと行えない競技特性なわけです。
・柔軟性
・可動域確保
・筋力の3つの働き(アイソメトリック、コンセントリック、エキセントリック)
・筋持久力
・バランス感覚(筋肉の協調性)
・関節のアライメント調整
競技パフォーマンスを向上させるには上記の点が必要となります。
元の状態に戻すだけでは怪我をしてしまうレベルの為、もっと強化して強くする必要が今後の予防対策と競技力向上につながっていきます。
100%に仕上げれば良いのではなく120%のレベルアップが必要となり、そのリハビリや強化する努力を継続することが精神的にも強くなって、怪我から復帰し人間力や知識と経験値として活かせるプラス材料となります。
チーム合流のタイミング
バスケットボールはチームスポーツです。
ちょっと良くなり痛みがなくなったからといって直ぐにチーム練習すると以下のようなことにつながります。
・スピードについていけない
・まだ未完成な動きがあり、ついていけない
・練習の途中から痛みが強くなってきた
・翌日になったら痛みが強くなった
・かばって行なったことで別の部位が痛くなった
・再び同じ怪我をしてしまった
このような結果となってしまってスムーズに競技復帰できなくなってしまいます。
別メニュー
なかなか練習時間や練習場所を確保することは学生では難しいと思います。
さらに中学生や高校生では怪我人がタイマーなどの雑用を任されてしまい自分自身のリハビリの時間が確保できないというケースもあるでしょう。
しかし練習を見学しているだけで果たしてバスケットボールが上手くなるでしょうか?
答えはNOです!
いかに自分自身でも時間を有効活用してリハビリして個人練習してできる限りの最善を正しい情報の上で行なっていくかが復帰の目安になります。
チーム合流するための流れ
・リハビリ/強化/できる有酸素運動
・ジョギング/アジリティ/ジャンプ/痛みなくできるボールハンドリングやパス、シュート
・ファンダメンタル (ストップ、ジャブ、ピボット、ドリブル、パス、シュート)
・スキルワークアウト/コートでの有酸素能力向上
・練習の部分参加 (練習メニューで可能なもの/時間でコントロール)
スキルワークアウトで徐々にできる範囲を増やしていくことで段階的にステップアップしていきます。
・痛みのないレベルのシューティングやハンドリング
・ムービングのシューティングやハンドリング
・チーム練習メニューやチームシステムに合わせたスキルワークアウト
・得意/不得意の獲得、再確認
・身体接触のコンタクトやディフェンスフットワーク
徐々にスピード/強度/時間を上げていく このような点をレベルアップしていきます。
チーム練習への部分参加

チーム練習は怪我人に対して合わせてくれるわけではないので練習メニューで入れるものと入れないものがあるかと思います。
・シューティングドリルやファンダメンタルドリル
・システムの確認の5-0の動き
・アウトナンバーの対人プレイ
・ハーフコートでの対人ありのプレイ
・オールコートでの対人ありのプレイ
このようなステップアップでできるものから参加していくことが望ましいです。
コーチによっては参加不可も…
コーチの考えでコートでは100%でできないなら参加するなというコーチが実際にいます。
ここで中途半端な状態で合流すると悪化してしまい、痛みがある中でプレイすることとなり悪循環してしまうケースがあります。
・練習に参加しないと試合で使ってもらえない…
・痛みがあるから練習参加しても全力でプレイできない…
・一度チーム練習に戻ってしまうと再び悪化しても抜けられない…
・みんなについていけるか不安である…
こんな思いをしたことがあるかと思います。
チームの環境や方針によっても変化するのでいかにコーチやトレーナーや仲間とコミュニケーションを図り対応していくかが大切となり、バスケットボールはチームスポーツなので1人で解決しようとせずに仲間にサポートしてもらう、してあげるという点が競技復帰を早める近道です。
完全復帰
完全復帰する前に部分参加して段階的に向上していく必要があります。
次の点がポイントとなります。
・練習メニューによって部分参加していく
・時間で区切る
・翌日の足関節やその他の部位が悪化していない事
リハビリや部分参加していく際に特定の動きの痛みが出ないように改善していくことが望ましく、最終的に時間でのダメージがどうかを考慮するために部分参加にしていく方がよりスムーズに復帰できます。
その時はアドレナリンが出て痛みが気にならず、痛みがあっても練習が行えても翌日に悪化してしまうとやり過ぎであったり現時点での強度に耐えられないということになります。
翌日痛みが前日と比べて同じならOK、良くなっているならなおOK、悪化しているなら修正する必要があるということです。
この辺りを最終チェックして問題なければ完全復帰という形になっていきます。
プロチームでの復帰の流れ
実際にプロチームの現場ではどのように競技復帰させていくのかということを紹介していきます。
まずベースとなるのが予防対策となります。
・個人の問題把握
・状態に対するアプローチ
・筋力強化
・練習前のアクティベーション
・運動時のテーピング装着
・治療
いかに最も多い怪我である足関節捻挫を防ぐことができるかという点は配慮していきます。
病院受診
それでもアクシデントによって足関節捻挫の受傷をしてしまうことはあります。
基本的には病院へ受診して検査・診察していただき、何か問題点があるのかを検証していきます。
この際に毎年メディカルチェック時に足関節のレントゲン画像は撮影しているので比較検討もできるようにしています。
問題となればMRI検査やCT検査も実施して詳細確認していきます。
リハビリ

我々のチームでは専属のトレーナーの他に理学療法士の方が週に数回チームに参加していただいているので、リハビリの対応をしていただいています。
プロチームではアスレティックトレーナー、ストレングスコーチ、スキルワークコーチとスタッフ構成も多く分業化されていてより専門分野に分けて対応するスタンスが多くなっています。
この辺り学生では現場にトレーナーが不在のチームもあるかと思いますので、病院や接骨院、治療院などでリハビリの構築をしてもらい対応してもらう形になるかと思います。
やはりこの辺りプロは毎日プロスタッフが総出で対応するので、一般の競技復帰よりも早く復帰させることができることもポイントとなります。
やることは上記で紹介した流れに沿って、症状に合わせたアプローチを行なっていくという形となります。
リハビリに入る前にスタッフでどのように進めていくかミーティングを行い、週間計画、1日の中で時間の割り振りなど決めて、修正して調整していく形になり、PDCAサイクルで改善していきます。
トレーニング
トレーニングとしても目的は様々あります。
・患部のアライメント修正(動きの修正)
・機能不全の回復(組織の改善)
・筋肉の強化(筋力低下の改善)
・協調性の獲得(バランス感覚)
・筋持久力の強化(患部の耐性)
・全身の強化
・全身のスタミナ
・アジリティーの獲得
・スピードアップ
・反応力の獲得
この辺りをリハビリからオンコートにて段階的にステップアップしていきます。
トレーナー関与、ストレングス関与、スキルコーチ関与と役割が分担されて実施していきます。
共通部分が実際に存在するので誰がどのパートを担当するか、コミュニケーションも大切となります。
この辺りで考え方の違い、スキルなどトラブルになることもプロの組織でもあります。
いかに信頼してそのパートを任せられるかということはチーム力としても組織としての統率にも影響してしまいます。
しかし、選手を最も効率よくベストな状態に仕上げる、納期を守るということが大切となり、小さな積み重ねが信頼関係や絆として強くなり、良い組織となっていきます。
ワークアウト
バスケットボールはハビットスポーツと言われるように習慣性のスポーツで感覚がとても大切です。
しばらく競技から離れると感覚がなくなってしまい思ったプレイができなくなってしまいます。
これは怪我でなくても試合期から遠ざかってしまうことでゲーム感覚がなくなってしまい、格下の対戦相手に大苦戦してしまうこともあるので、バスケットボールという競技は感覚がとても大切でシュートやシステムは特に相手あってのパフォーマンスなので調整が難しいものです。
そのためできるかぎり痛みがなければバスケットボールから選手を遠ざけないようにしてできることを実行することはとても大切な点です。
足関節を捻挫しても荷重して動かなければ痛みが出ない前提であればボールハンドリングなどは行えます。
歩行やジョギングができるようになればかなりファンダメンタルドリルはスピードをコントロールすればできるようになってきます。
場所や時間がないといっても練習中にコートサイドや体育館のステージが使えれば十分できることはあります。
また全身の筋力強化も急性期を過ぎれば実施可能なことは多いので、強化することも可能なわけです。
時間は誰でも平等なので1日24時間、1440分をいかに有効に活用するかは前進速度が異なってきます。
努力を継続できるものこそが才能かと思っています。
段階的なチーム合流
プロチームでのチーム合流させる条件はワークアウトで問題なくプレイでき、時間的や運動強度でも対応できる状態になってからチーム練習に参加させていく流れになります。
どうしてもワークアウトではプロ選手のスピード感と身体接触など解決できないことがあるため、段階的に合流させていきます。
・チームメイトのスピード感に慣れる
・チームの戦術システムに対応できる
・身体接触にも対応できる
・オールコートのアップダウンの練習にも対応できる
・持久力、疲労感、その他の部位の負担に対応できる
上記のようなステップアップで動作確認等練習の休憩時間で短時間で確認して練習継続させていくかの判断をトレーナーが確認していきます。
その日の練習メニューによってもできることと出来ないことも出るケースがあるためコーチと部分的練習参加が可能か確認して調整していきます。
基本的にはまずチーム練習に1時間参加からスタートさせることが多く、翌日のダメージも含めて次の日は1時間半、その次の日よりフル参加という段階的に合流させると確実に良い状態で合流させられます。
まとめ

↑足関節の後遺症で手術後、歩行のレベルの状態でもプロ選手はドリブルにて感覚を大切にします。
足関節捻挫の競技復帰までのステップアップというテーマでプロチームの流れも含めて紹介してきました。
【まとめ】
・競技復帰をより早期に確実に復帰するには病院で診察/検査して状況の把握を行うこと
・リハビリをしっかり行うことで怪我への対応力とパフォーマンス向上にもつながる
・急性期/亜急性期/慢性期によって行うことも変化していく
・バスケは感覚も大切なので痛みがなくできることは実施して感覚を損なわないようにする
・競技特性のステップなど段階的にできることを増やしてバスケのスキルワークアウトに繋げる
・チーム合流にも段階的に合流して悪化させないように日々向上させるようにする
足関節捻挫にも様々な症状があり、症状に対してアプローチも異なってきます。
問題となる原因を突き止めて、原因の解決策を構築して、実際にリハビリを行う。
うまくいかないケースであれば軌道修正して再び計画して実行するPDCAサイクルを回していくとより早期に回復していきます。
今回の記事が特にチームにトレーナーなどのメディカルサポートスタッフがいない環境でのバスケ活動をしている方の参考になれば嬉しい限りです。