バスケットボールでは最も多い怪我が突き指です。その次が足関節捻挫となっています。
突き指がもっとひどくなると脱臼してしまいます。
脱臼は強い外力が加わることで起こってしまい、指だけでなく肩関節でも起こるケースもバスケットボールではあります。
今回は指の脱臼に関して紹介していきます。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして長年活動しているベテランです。
脱臼に対してもたくさんの経験や対応をしてきました。
脱臼でもプレイすることは可能で対応や手段があります。
しかし脱臼した際に剥離骨折を生じてしまうケースもあり手術が必要となってしまうケースもあるのです。
医療機関を受診して画像検査の元プレイすることで安心して後遺症のリスクを減らして競技活動をできると思います。
【結論】
・バスケでの脱臼ではしっかりと固定すればプレイ可能となる
・受傷後は必ず画像検査をして剥離骨折がないか確認が必要となる
・ボールをキャッチする際、手を叩かれた際に痛みが出やすいのでその対応をする
・脱臼してプレイすれば痛みが軽減するまでの期間は長くなってしまうことは仕方がない
・後遺症が残らないように腫れや可動域と筋力強化のリハビリはしっかり実施しよう
脱臼するということは靱帯の損傷があるので痛みが発生します。
リハビリをやらないと指の変形が起こってしまいます。
特に小指の脱臼では変形しやすいので注意しましょう。
目次
バスケでの指の脱臼の原因を理解する

指の脱臼は四指の第二関節または第一関節で起こりやすいです。
私が実際に経験した際は圧倒的に第二関節の脱臼が多いです。
示指(第二指)、中指(第三指)、小指(第五指)で発生した対応が多いです。
指第二関節の脱臼
バスケットボールプレイ中の指の脱臼では手を叩かれるような外力が加わることで脱臼することが多く瞬間的な衝撃が加わり発生します。
小指の脱臼

小指の場合では引っ掛かり外側に持っていかれることで発生することが多いです。
ユニフォームに引っかかってしまい受傷することもあります。
小指は後遺症として残り変形しやすいのでっかりとリハビリをすることです。
元バスケ日本代表選手でも後遺症として残ってしまっています。
親指の脱臼または重度の突き指
親指は脱臼よりも突き指による損傷が圧倒的に多く、特に手でも起点となるため使用頻度や外力も多く治りも悪いです。
突き指の重症時でも痛みや症状は同様となり対応の仕方も同じですので参考にしてください。
脱臼した指の応急処置方法

プレイ中は軽い突き指では痛いながらも継続してプレイしてしまい、特に試合ではアドレナリンが出ているので継続してプレイできてしまいます。
脱臼した際は指を抱え込んで痛がる傾向も強いので痛がるアクションも高くなります。
指の脱臼の整復
指が脱臼した場合、とっさに自分自身で元に戻す整復をしてしまうケースもあります。
牽引しながら戻すことで脱臼を治すことはできますが、戻らないケースもあります。
その際は整形外科を受診して対応してもらう必要があります。
整復する際に二時的に剥離してしまうこともあるので本来であれば専門家が対応すべきケースとなります。
指の脱臼の応急処置
応急処置としてはRICE処置を行うことです。
Rest (安静)・・・受傷後は安静にして様子を見ることも必要です。脱臼時はジンジンしています。
Ice (冷却)・・・炎症が出ること、血管を収縮させて内出血を抑える目的
Comprestion (圧迫)・・・圧迫して腫れを抑える対応
Elevation (挙上)・・・心臓より高くして静脈の戻りをよくして腫れを抑える
さらに冷却後は固定具で不安定感を出さないようにしましょう。
応急処置の詳細はこちらで詳しく解説しています↓↓↓
>>応急処置の仕方で復帰が早くなる!!足関節捻挫後の対応方法
医療機関で検査
脱臼した場合は骨折を伴っているケースもあります。
特にすぐに腫れが出始めたケースでは疑う必要があるので医療機関を受診するようにしましょう。
レントゲンやCTにて骨の確認をして剥離骨折の有無を確認することで今後の方針が定まってきます。
指の脱臼後のリハビリテーションガイド

指は軽視しがちですが、日常的にも使用頻度が高い関節なので変形や後遺症も起こりやすく時間がかかってしまう点もあります。
腫れを軽減させる
突き指でも脱臼でも靱帯への負担や損傷が生じることで組織にダメージが起こり腫れが出ます。
腫れが出ると指の関節部分にあるシワがなくなり関節の曲がりも悪くなります。
いかに腫れを軽減させるかがリハビリのスタートとなります。
関節可動域の確保
腫れが軽減してくることで動きも改善していきますが、最終的にフル可動域になるにはやはり時間がかかってしまいます。
完全に指の曲げ伸ばしができるようになるにはそれなりに時間経過も必要となり、競技を実施したり、日常的に使用頻度が高ければ負担がかかっているので治りが遅くなってしまいます。
筋力回復
筋力も入りにくいので強化をしていく必要があります。
筋肉の収縮には3つのパターンがあります。
・等尺性筋収縮(アイソメトリック)・・・動きなく固定した状態での力発揮
・求心性筋収縮(コンセントリック)・・・指を曲げ伸ばしにて筋肉を縮めながら力発揮
・遠心性筋収縮(エキセントリック)・・・指を伸ばされながら耐える力発揮
しっかりと力が使えるようにすることはパフォーマンスに影響する部分なので回復させましょう。
怪我を防ぐためのトレーニングメニュー

バスケットボールでは手の力や指の力がしっかりしていると大きな財産となります。
指先にボールを引っ掛ければスティールやブロックショットとなり、指先のタッチの感覚でシュートの影響もあります。
バスケ選手は指先の感覚はとても大切であり、痛めやすい部位でもあるので、強化必須となります。
完治まで長期間影響する
一度突き指で痛めると指は長期間痛みが持続してしまうため、予防としての強化が必要にもなります。
指のトレーニング

指のトレーニングとして握力がありますが、握力では指先の強化とは別の要素となってしまうため指先の強化も必要となります。
指のトレーニングで指立て伏せを実施する傾向かと思いますが、負荷が強すぎて回数をできないケースが多いです。
テーブルに指先を立てて体重移動することから始めて強化するようにすればいつでもどこでも指に刺激を入れることができ強化していきます。
プレイ可能にする手段

脱臼をしても整復してそのまま試合に出場することはよくあることです。
試合後には医療機関で検査をすることが前提ですが、アドレナリンが出ている事も影響してテーピング等で出場できるケースも多いです。
この辺りは程度と個人差もあります。
プレイで問題となるボールキャッチ
バスケットボールの競技中に問題となるのがボールをキャッチした際に生じる痛みがあるかどうかです。
ボールをキャッチをした際にかなり痛みが出るのであれば、どう痛みを防ぐかとなります。
その際の選択肢としては
・テーピング
・装具による固定
この2点になります。
ドライブからの手を叩かれる
バスケットボールはコンタクトスポーツで身体接触があります。
ボール保持者が手を叩かれるケースはかなりのシーンで実際に起こります。
その際にも対応できる状況を作ることも競技する上では大切となります。
テーピングで固定する

テーピングで固定することで個人差もありますが、ある程度の症状であれば十分対応可能なケースもあります。
・テーピングの巻き方
・テーピングの種類
このような点を参考に何度か違う方法を試して競技可能か確認をします。
指のテーピングはもう一つのブログで投稿していますので参考にしてください
>>【指のテーピング】指の第二関節(PIP関節)の突き指|動画
>>【指のテーピング】親指の付け根(MP関節)の突き指|動画
プライトンでオーダーメイド装具固定

装具で固定するという形もありますが、一般の方では難しい点があり専門家に対応してもらう形となります。
私が使用する装具はプライトンといいます。
プライトンの性質として
・プラスチック素材
・お湯の熱によって形状変化可能
・指の形に成型できる
・フィット感が出る
・微調整も可能である
ボールキャッチや手を叩かれても十分に対応できる強度があり、脱臼してもプレイ可能となる状況を作り出せます。
バスケットボールの競技ルールとして
サポーターや装具を試合で使用する際は、プラスティック等の素材が肌表面に露出しないことがあります。
そのためテーピングで上から覆い被せる必要はあります。
今までの経験として

指の脱臼ではさまざまなシーンに対応してきました。
指の怪我でも起こるものとして
・突き指
・脱臼
・剥離骨折(はくりこっせつ)
このようなケースがあります。
脱臼の場合は靭帯が損傷してしまうことで脱臼するので特に初回では腫れと痛みも強く出ます。
剥離骨折をするケースではあきらかにボールキャッチ時に激痛も走るのでプレイ中止のレベルになります。
第一関節での剥離骨折はマレットフィンガーが有名ですが、第一関節の指を反らすことができなくなってしまうので手術となります。
現場で触っただけでは確認ができないことも多く医療機関で受診して検査が必要となるわけです。
現場での対応例として
クラブチームで自分自身が試合をプレイする大会のウォーミングアップ中に指を脱臼した選手がいて、整復してテーピングを巻いてそのまま試合出場したと言うこともありました。
高校生の全国常連校の試合帯同の県大会準決勝で指を脱臼し、その場での整復ができず整形外科で麻酔をして整復してもらいました。
病院で事情を説明しお湯などや器を借りてプライトンで装具を作り、その後体育館へ戻って決勝戦に出場し3Pシュートも決めて県大会優勝に貢献しました。
プロ選手も試合中に指を脱臼して、自分で整復しタイムアウトの1分ですぐにテーピングを巻いてそのまま出場し、勝利に貢献した超一流のレジェンド選手もいます。
プロの試合中に小指を脱臼し、そのままテーピングでプレイしましたが、翌日プライトンで装具をして通常に練習再開するも、翌週の試合で逆手の小指を脱臼して、その日はプレイするも翌日の試合は両手の小指の筋力低下があり休ませたという対応もしています。
受傷から完治までの流れとして
1.受傷した際にその選手の痛みのレベルを確認
2.テーピングで対応可能か判断
3.プライトンで強度の固定を作成
4.ボールキャッチさせてプレイ可能か違和感の含めて確認する
5.微調整して選手ニーズに対応する
6.プレイ可能となる
7.腫れが引くと緩くなるので作り直して調整する
8.テーピングに切り替えてより感覚を良くする
9.最終的に強化してテーピングも不要とする
このような流れで対応していきます。
まとめ
今回、バスケで起こる指の脱臼の対応とプレイ可能にする手段として紹介してきました。
【まとめ】
・バスケでの脱臼ではしっかりと固定すればプレイ可能となる
・受傷後は必ず画像検査をして剥離骨折がないか確認が必要となる
・ボールをキャッチする際、手を叩かれた際に痛みが出やすいのでその対応をする
・脱臼してプレイすれば痛みが軽減するまでの期間は長くなってしまうことは仕方がない
・後遺症が残らないように腫れや可動域と筋力強化のリハビリはしっかり実施しよう
脱臼しても大切な試合や大会では良い状態で出場したいものです。
プライトンという材質で装具を作ることで出場できる可能性が高くなりますので専門家に対応してもらう事も選択肢となります。
プライトンでも作成技術が必要な点がありますのでどこで対応可能かいざという際に備えて事前調査は必要となります。
必要であれば対応しますのでお問い合わせください。
この記事が参考になれば幸いです。