小学生1-4年生くらいで踵の痛みを訴えるお子さんがいますが、踵の骨端症と言って足のサイズが大きくなる時期に起こりやすい症状です。
急に足のサイズが大きくなる時期があり、踵の骨が最も成長していきます。
骨の成長速度に対して筋肉の成長が追いつかず筋肉の付着部が引っ張られることで起こってしまう症状です。
このような時期にスポーツを始める方も多く、運動することで筋肉が硬く縮むため余計引っ張られる力が加わり痛みが出てしまいます。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動して24年間となるベテランのトレーナーです。
小学生からプロ選手まで各カテゴリーの年代の選手の対応をしてきました。
今回の記事が参考になればと思っています。
踵の骨端症は、お子さんが朝起きた際に踵の痛みを訴えることも多く、寝ている間筋肉を使わなく固まってしまうため、特に朝起きて体重がかかる際に痛みとして骨が引っ張られる力が強く症状も現れます。
しばらく歩いていると足裏の筋肉の柔軟性が出てくることで痛みが気にならなくなる傾向ですが、骨が変形してしまうこともあるのでいかに対応策を実施していくかもお子さんの成長を良い形でサポートする対策となります。
【結論】
・小学生になると足のサイズが大きくなる時期があり踵の痛みも出やすい
・スポーツを始めると足への負荷も増加するためより踵の骨へのストレスが加わる
・特に朝起きた際に痛みが強く出る傾向である
・痛みの部位と原因を理解してセルフケアをお子さんと共に毎日実施しよう
・歩行困難な際は医療機関受診して問題となる原因を突き止め専門家の指導も必要となる
踵の骨端症を解説していきます。
踵の骨端症

小学生になると足のサイズが縦に伸びる時期があります。
個人差がありますが、小学1年生から小学4年生くらいにかけて成長が著しいです。
特に踵は骨端線があり骨が成長しやすい部分です。
小学生になるとスポーツを始める選手が多くなり走る跳ぶというような足に負担がかかる動作が増加します。
よって筋肉をよく使うようになるので硬く縮みやすく骨の付着部で引っ張られる牽引力がかかり痛みが出ます。
足部の構造

踵の骨は踵骨(しょうこつ)といいます。
足の裏にもたくさんの筋肉があり足底筋として踵に付着しています。
上図のように足の裏はアーチがあり衝撃を骨と筋肉の構造によって吸収して保持しています。
踵骨には足裏の筋肉と足底腱膜、アキレス腱が下図でも分かるように付着して歩行することができるとても重要な部分です。
この部分に成長の過程で引っ張られてしまい、痛みが出てしまうのが踵の骨端症となります。
さらに引っ張る力が強くかかっていくと骨が隆起したりと変形してシーバー病となります。
踵の痛みの原因

踵が痛くなる原因として
・足のサイズが急に大きくなる時期で筋肉の成長よりも骨の成長が著しい
・スポーツを始めて運動量が多くなり負担増加している
・走る、跳ぶ、切り返し動作など足への負担から筋肉の疲労によって柔軟性低下
・運動で使って炎症症状が起こりダメージが持続している
上記のようなことが考えられます。
ではどのように対応すれば痛みが軽減できるのでしょうか?
対応方法
踵の骨端症に対するアプローチとして
・ストレッチで柔軟性を確保する
・炎症症状が強い際はアイシングを実施
・足裏の筋肉をマッサージする
・テーピングで圧迫して負担を軽減させる
・シューズのサイズなど足に合っているか再確認する
このような点が対応策となります。
成長痛は一定の期間は痛みが持続するので痛みとうまく付き合っていく必要もあります。
日頃のセルフケアがとても大切でいかにまだ小さいお子さんと一緒に対応していくかが大切なんです。
ストレッチ

ストレッチも踵の場合アキレス腱側と足裏側のストレッチを行う必要があります。
3つのタイプのストレッチを行いましょう!
・ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ
・ふくらはぎの深部にあるヒラメ筋のストレッチ
・足裏のストレッチ
ストレッチを行うタイミングとして
・朝起きた際が筋肉が固まっているので実施
・運動前に筋肉のゆとりを出すため実施
・運動後は使った筋肉元に戻すために実施
この3つのタイミングは最低限行なっていくことで負担が軽減しやすくなります。
アイシング

運動後はアイシングを行なって患部の炎症を抑える必要があります。
炎症症状が痛みとして患部に影響しています。
アイシングの方法としてはアイスバッグとビニール袋での方法がありますが、小学生や中学生ではアイスバッグの方が使い勝手がいいです。
なぜなら、アイシングは氷を平らにする必要があり空気を抜いて留めます。
これがなかなか難しいのと寒冷蕁麻疹や凍傷のリスクもあるので慣れるまではアイスバッグの方が安全性も高いです。
アイシングは冷たいとすぐ外してしまわないようにバンテージで固定して20分程度行うことで冷却できます。

踵には衝撃を抑える脂肪のパッドがあるので冷えにくい部位のためアイシングもしっかりと固定して行いましょう。
お子さんが初めてアイシングをすると冷たくてすぐに外してしまうことがよくあります。
しかしそれでは効果半減してしまうのでしっかり行うことが大切です。
2-3回行えば慣れてしまい幼稚園児でもアイシングを行なっていましたので習慣にすることです。
アイシングは特にスポーツを行なっている選手の練習後に実施すると良いタイミングです。
・縦方向
・横方向
の両方にアプローチすると相乗効果がでてほぐれやすいです
足裏マッサージ

足裏の筋肉や筋膜リリースとしてマッサージボールをコロコロとやることで筋肉にゆとりが出てきます。
筋肉のゆとりが出ると骨が引っ張られて痛みが出ることを抑えることとなります。
運動前や朝起きた時にストレッチと合わせて実施すると相乗効果になります。
テーピング

使用テーピング
・ホワイト25mm
・キネシオタイプ50mmまたは伸縮ソフト50mm
足裏から寄せるようにしてテーピングで圧迫して踵の付着部を貼ることで痛みを軽減できます。
足裏とアキレス腱側に交互にーピングを重ねながら貼っていくと圧が均等になります。
この時にアキレス腱にはかけないようにして踵の付着部に貼ることがポイントです。
ホワイトテープだけだと剥がれてしまうので上からカバーする目的でキネシオタイプや伸縮ソフトタイプで巻けばOKです。
このテーピングは踵の骨端症の痛みに対しては最も有効ですので試してみてください。
テーピングは運動する際の負担を軽減させる対処方法です。テーピングをしたから治るわけではありません。
このテーピングは少し巻くのが難しい点があります。
もっと簡単にアプローチする方法が下の巻き方です。

使用テーピング
・キネシオタイプ50mm
足底筋に対して1本テーピングを引っ張りながら貼ることで筋肉に対して負担を軽減できますので、テーピングを貼るのがこちらは簡単なのでやってみてください。
シューズの影響

子供は成長する際に保護者からすると足のサイズがどんどん大きくなってシューズに対して費用がかかる事が懸念点になるかと思います。
すぐにサイズが大きくなるから大きめのサイズのシューズを履かせて運動させたい気持ちも理解できます。
しかし大きいサイズを履かせることによる悪影響は一生後遺症として残ってしまうことも考えられるのです。
シューズの底には曲がりやすいタイプと曲がりにくいタイプがあります。
最もわかりやすいのがスパイクではシューズの底が硬いので動きが出にくい構造です。
上写真のようにシューズにも曲がるポイントがあります。
この曲がる位置と足の曲がる位置がズレると足裏や足の骨へのダメージが大きくなってしまい怪我につながります。
また縦方向にズレるだけでなく、横へも動きやすくなるため、足に対するリスクが大きくなり過度に酷使してしまい、足の変形にもつながってしまいます。
足の変形とは扁平足やハイアーチ、踵の傾き、外反母趾など様々な問題につながってしまいます。
このような足部の影響が膝などにも関連して起こってきます。
シューズは成長とともに適正サイズのものを履かせてあげましょう。
そのためには定期的に足のサイズをチェックしていくことも必要となります。
子供では何が良いか悪いか判断がつきません。
保護者が知識をつけてお子さんを良いサポートに導く必要があります。
専門家に見てもらうことも必要な時もありますので良い成長を共に見守っていって欲しいです。
まとめ
今回は、【踵の骨端症】朝起きたら踵が痛いと子供が言ってきたシーバー病に対する解説をしてきました。
【まとめ】
・小学生になると足のサイズが大きくなる時期があり踵の痛みも出やすい
・スポーツを始めると足への負荷も増加するためより踵の骨へのストレスが加わる
・特に朝起きた際に痛みが強く出る傾向である
・痛みの部位と原因を理解してセルフケアをお子さんと共に毎日実施しよう
・歩行困難な際は医療機関受診して問題となる原因を突き止め専門家の指導も必要となる
成長痛の中でも踵は運動を始めた選手にとっての最初の障害に対する対応となります。
ここから小学生高学年になるとオスグッドの膝の痛みも出てきます。
セルフケアの仕方を今から対応策として理解して、これから起こりうる障害に対して知識とテクニックを身につけて、お子さんのスポーツ生活のサポートを充実させてほしいと願っています。
今回の記事が参考になれば幸いです。