今回は、外側半月板を両膝損傷している女子バスケ高校生の選手が3ヶ月間練習もできない状態で、手術が必要なのか悩んでいるという状況下にて、紹介されてやってきた方を対応した際の話となります。
【結論】
リスクはあるものの条件付きで、手術しなくてもプレイは問題なくできる状態に改善した事です。
その条件とは
・トレーニングで筋力を向上させること
・体脂肪を減らすこと
・痛みの原因となっていた膝の捻れをとるためのリハビリメニューを実行すること
・セルフケアをしっかりと実施すること
・まず3週間は別メニューでワークアウトとトレーニングで段階的に向上させる事
・セルフケアだけでは不足するため治療を実施すること
この選手は高校入学と同時にレギュラーとして活躍するも
7月に右膝の外側半月板を損傷してしまう。
9月に今度は左膝の外側半月板を損傷してしまう。
12月には右膝の外側半月板を再受傷してしまう。
その後は競技復帰できず寮生活のため3月の春休みにて帰郷して、私のところに来た流れでした。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動しています。
長年プロ選手を対応してきて、整形外科でもなかなか対応しきれなく競技復帰できない選手が紹介でやってきます。
バスケットボールは専門競技のためあらゆるアプローチは可能となり競技復帰させてきました。
半月板の役割

半月板は上図左のオレンジ色の部分となり、内側と外側にあります。
右図のように膝関節の間にある軟骨で膝関節のクッション役となっています。
膝関節の曲げ伸ばしをスムーズにする役割もあり、半月板が損傷することで骨へのダメージにも影響してきます。
外側の半月板は動きも大きく柔軟に対応できる機能もある反面、衝撃によって損傷してしまうこともあります。
半月板は部分的に亀裂が入ってしまい痛みが出るケースや、縦に断裂してしまうケースもあります。
損傷することで膝関節の曲げ伸ばしにて引っかかってしまい、痛みが出たり、運動制限がかかってしまうケースがあります。
衝撃によって損傷することで膝関節がロックされてしまうこともあり、手術が必須のケースもあります。
どの部位が損傷しているのかによって、膝関節の角度にて痛みが出るポイントが異なってくる特徴もあります。
半月板損傷でバスケの練習が全くできない状態

この選手の場合、両膝で3度の半月板損傷をしてしまった経緯があります。
ここで想定されることとしては
・高校生になりたてでまだ筋力が不十分な状態であったのか
・試合の連続で疲労が蓄積していたため関節部分のゆとりが消失していたのか
・バスケの動作習慣で問題となる動きがあったのか
・セルフケアなどリカバリーにかける努力が不足していたのか
このようなことが想定されます。
今回2日間連続で対応しました
練習できない膝の痛みの原因は膝のアライメント不良により、半月板に負担がかかっていたことが左右の膝ともに影響していました。
本人は右膝の痛みが強い状態でしたが、症状としては左膝の方が捻れが強く大きな負担がかかっている状態でした。
対応した手順としては
問診でとにかくたくさんの情報を聞き出すことです。
次に今後の目標や望んでいる未来像を確認していきます。
高校生でさらに遠距離の寮生活のため、こちらも対応することが困難な状況なのでどこまで対応するかもあります。
そして状態のチェックをして、問題の痛みの原因となっている点を確認していきます。
アプローチとて症状が実施中にも関節の可動域が改善されていく手応えも感じられ、痛みなく膝の問題は解消できました。
半月板の損傷レベルは小さかったので手術せず対応可能な状態であったことは幸いです。
悩んでいた手術が必要なのかという点はクリアできました。
もちろん今後損傷するリスクはあることは前提として話しています。
ただしここからが問題です。
この選手の望みは日常生活の痛みではなく、バスケットボールの競技復帰をすることです。
半月板損傷による問題点

半月板の損傷では今回手術しなくても大丈夫なレベルであったが、プレイして問題となるのか確認しなければなりません。
ウォーミングアップして、実際に体育館で動作を確認していきます。
・基礎運動時に動作習慣で問題があるのか
・バスケットボールでの基本的な動きで問題が出るのか
・バスケットボール中の競技特性のコンタクトなどで問題が出るのか
このあたりを確認して動かしていきます。
その際に動作の癖も把握して、起こりうる問題点があるか確認していきます。
今回は動作習慣の改善は必要でドリルで強化しながらも十分ワークアウトできるレベルであり、50-60%のスピードでは痛みが出ずに競技できることも確認できたので良い流れがイメージできました。
しかし、トレーニングで強化必須であるため、まずは3週間分のリハビリ&トレーニング、バスケのワークアウトのメニューを作成する必要がありました。
ここで1日目の対応は終了でしたが、高校生だとメニューをペーパー化し、やりながら解説しなければならない点があるため、時間がかかってしまうものです。
しかも翌日には学校へ戻らなければならない状況でしたので、急遽翌日も対応しなければならない状況でした。
たまたまお互い時間が確保できたので助かりましたが…汗
トレーニングで強化は必須

高校生では知識や経験もまだまだ少なく、何をすればいいのかさえわからない状況です。
この選手も学校近くの接骨院で7月に受傷した際に簡単に教わったトレーニングメニューを実施していただけで、膝の痛みがあるので下半身のトレーニングを一斎行っていない状況でした。
上半身のトレーニングは行っていたということですが、3ヶ月以上ほとんど運動できていないため体脂肪が増加してしまったイメージもあります。
そのためこのまま膝の痛みがなくなったからといって競技復帰してしまうとすぐに再受傷してしまい、それこそ手術しなければならなくなってしまうリスクが大いにあります。
まず3週間しっかりと別メニューでトレーニングとバスケのワークアウトをして筋力強化とシェイプをしつつ、バスケのスタミナなど段階的に向上させていく必要があるわけです。
特に動作習慣によるリスク回避をするドリルと膝の捻れを起こしてしまう筋肉のバランスも配慮しなければ、再び痛みは出てしまうことが必須となります。
そのため、現状ではセルフケアだけではリカバリー不足となりやすく、治療が必須となるということです。
地方の為、医療系が厳しいと地元で活躍しているプロ選手にどこか対応できるところはないか尋ねましたがなかなか信頼できるところはないとの回答となってしまいました。
オンラインで対応し、場合によっては学校へ行って対応するしかないなと思っています。
本人の努力が継続できるか

リハビリ&トレーニング、さらにバスケのワークアウトのメニューでおよそ1時間半から2時間のメニューを与えています。
実際に2日間対応し最後はアイシングも実施して炎症症状の確認も行いましたが、大きな反応もなく2時間動いても問題ない状態でしたので安心できるレベルです。
あとは本人がしっかりとトレーニングだけでなくセルフケアを実施して、悪化させないことです。
学生はバスケなどの競技に対しては全力で取り組むことができますが、体のメンテナンスに関してはサボりがちです。
その為悪化してしまうというわけです。
これから本人がやらなければならないことは自己管理することです。
・いきなり強度を上げてしまえばリスクが増加して悪化しやすくなる点
・セルフケアを怠れば翌日悪化してしまうことは十分にあること
・筋力や動作習慣は時間がかかるので焦ってやりすぎることで悪化を招く
・2日連続悪化したなら治療を受けることができるか、コーチに言えるか
競技復帰をするまでにやるべき事がたくさんあり、継続して実施できるか
自責マインドを持って遂行する行動力がその後の高校生活の競技に影響するわけです。
まとめ
今回、外側半月板損傷の女子バスケ高校生が手術すべきか対応した結果!?というテーマで実際に対応した点を解説しました。
【まとめ】
リスクはあるものの条件付きで、手術しなくてもプレイは問題なくできる状態に改善した事です。
その条件とは
・トレーニングで筋力を向上させること
・体脂肪を減らすこと
・痛みの原因となっていた膝の捻れをとるためのリハビリメニューを実行すること
・セルフケアをしっかりと実施すること
・まず3週間は別メニューでワークアウトとトレーニングで段階的に向上させる事
・セルフケアだけでは不足するため治療を実施すること
今回手術するか悩んでいた選手を対応し、手術しなくても競技復帰はできる状態であったことは良かった点です。
しかし、リスクはあるし、条件がついてきます。
競技復帰できるイメージを選手もできたといっていましたが、あとはしっかりと実行する、継続する
この部分ができるよう遠方からサポートしていきたいと思っています。
このチームは新人戦で県大会優勝している強豪校です。
リハビリから復帰して再び試合で活躍してほしいと願っています。
栃木県宇都宮市でミズノ治療院開業予定
2025年7月を目安に栃木県宇都宮市にスポーツ障害に対応したミズノ治療院を開業する予定です。