スポーツ観戦したり、スポーツ現場で活動していると選手やチームをサポートするスタッフの存在にも目が行きます。
チームのスタッフにはコーチ、マネージャー、ストレングスコーチ、アスレティックトレーナーと役割がありプロスポーツトレーナーとしてプロチームに関わるにはフィジカルとメディカルに分類できます。
フィジカルは選手の体力面をサポートし、メディカルは選手の健康や傷害に対応していきます。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動しています。
ストレングスコーチとしても活動していた経験もあり両者の面からプロチームでの活動実績があります。
まずあなたはプロスポーツトレーナーとしてフィジカルとメディカルのどちらに進みたいか?
ここを決めていく必要があります。
スポーツトレーナーという言葉は広範囲な表現となり、総合的な意味合いがあますが、今回はメディカル分野を中心に解説していきます。
【結論】
・あなたがフィジカルとメディカルのどちらで関わりたいのか
・どの資格を取得して活動していきたいのか
・どの学校に行けばいいのか、さらにもう一つ資格取得すべきか
・知識と技術も大切ですが人間力をプロチームでは最も評価する
・どのカテゴリーが適正なのか現場経験を積んで確認しよう
・プロチームとしての心得を理解して可能性を高める
プロチームのスポーツトレーナーになるには

プロチームのプロスポーツトレーナーになるには情報を収集する必要もあります。
まずあなたはどう関わっていきたいのかを明確にすることです。
明確になれば必要な資格がわかってきて、いくべき学校の選択肢が絞られてきます。
フィジカルとメディカル
スポーツトレーナーとは大きく分類すると2つに分かれます。
・フィジカル・・・選手の体力面をサポートするストレングスコーチ
・メディカル・・・選手の健康や傷害を対応するアスレティックトレーナー
さらにプロチームでは細分化されてチームによっても役割は異なってきますいきます
ストレングスコーチ
・体力や筋力などパフォーマンスを向上させる役割
・GPSのデータ管理をして選手のパフォーマンスを分析する役割
アスレティックトレーナー
・怪我の予防や現場での選手のコンディショニング調整
・怪我やリハビリの対応から競技復帰
・治療や疲労回復を目的とした選手のケア対応
あなたがプロチームで活動をする際にどのように関わりたいかで取得すべき資格が異なってきます。
さらにプロチームで将来ずっと活動できるかというとなかなか難しく、プロチームで活動後の将来像も見据えていくことで資格取得も異なってきます。
スポーツトレーナー資格の選択
プロスポーツチームで活動するための資格は最低でも2年以上の学校への通学または集中講義を受講しなければなりません。
簡単に取得できる資格ではない為、計画性が必要となってきます。
資格取得も複数取得した方が将来的にも幅が広くなり活動範囲も広くなってきます。
・単一の資格取得
・複数の資格取得
プロチームで活動するには複数資格取得した方が優位になっていきます。
なぜならトップレベルで活動している方が複数資格を取得している為、水準が向上しています。
対応力の幅が広がっているのが特にメディカルでは起こっています。
進路の選択
1.将来どのように活動したいか、何を強みとして活動したいか
2.どの資格を取得する必要があるのか
3.その資格はどの学校で取得できるのか
4.さらにどの資格を取得するとプロチームで活動できる可能性が高まるのか
ここを明確にすると自分の時間とお金の投資の価値が高まります。
さらにプロチームで活動するためには何が必要なのかをイメージして行動することです。
プロスポーツトレーナーの資格

フィジカル系ではトレーニング指導をする役割
・NSCA-CSCS
・JATI-ATI
メディカル系では治療やリハビリをする役割
・柔道整復師
・鍼師
・灸師
・あん摩マッサージ指圧師
・理学療法士
・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー JSPO-AT
・アメリカのアスレティックトレーナー BOC-ATC
この辺りの資格が有力となっています
スポーツトレーナーの資格の詳細はもう一つの私のブログより↓↓↓
アスレティックトレーナー
日本でのアスレティックトレーナーとしての資格は日本スポーツ協会公認のものが唯一となっています。特にプロチームで活動するには必須な競技もあります。
スポーツトレーナーの専門学校や体育系の大学では認定校であるかの確認は必須となり、認定校を選択することが前提となります。
そのためスポーツトレーナーの専門学校を選択する際はプロチームでの活動を考えているのであればインストラクターの資格では不十分となってしまいます。
もちろんプロチームでもその他の資格を保有しているのであれば有効となりますが、プロチームで活動を目的とした取得は上記の資格のいずれかが必須となってきます。
この辺りは関わりたい競技やチームによっても異なってくるケースがあります。
日本の医療国家資格
日本では医療行為をする際に医療国家資格取得者である必要性があり、さらに専門分野に分かれています。
そのため治療行為はアスレティックトレーナーの資格だけでは行えない為、複数の資格を取得しているわけです。
・柔道整復師・・・接骨院を開業できる/保険適応
・鍼師・・・鍼を使用でき、開業できる
・灸師・・・お灸を使用でき、開業できる
・あん摩マッサージ指圧師・・・マッサージ等の手技を活用でき開業できる
・理学療法士・・・病院でのリハビリで保険点数を獲得できる
医療資格を取得することで医学的な観点で治療することができるわけです。
プロチームでの活動以外でも様々な領域で活躍できる場合が多くケガの対応も可能となります。
キャリアをつけるとプロスポーツトレーナーの仕事以外でも求人の募集も多く就職活動や独立へと幅が広がります。
競技によっての必須要件
競技によってはJSPO-AT取得者でないとプロに所属できないということもあります。
私が関わるバスケットボールではフィジカルでは上記2つのいずれか、メディカルでは上記7つのいずれかをチームで1名取得していなければなりません。
さらに2026年から開始されるプレミアムリーグではより条件が設けられていてATが1名必須で2名の7つのうちの取得者、トップリーグの実務経験3年以上という条件も追加されます。
バスケットボールトップリーグの場合
・上記7つのメディカル系資格取得者が2名必須
・SPO-ATまたはBOC-ATC取得者が1名必須
・トップリーグ(バスケB1B2/他競技トップリーグ)での実務経験3年以上が必要
という資格条件が追加される予定です。
トレーナーとしてのスキル

プロスポーツトレーナーに必要なスキルとしては知識と技術があります。
さらにプロチームでは人間力が求められます。
プロチームの影響は社会的にも大きく、問題を起こしてしまえばメディアでマイナスイメージとなってしまいます。プロチームに所属している限り責任が生じてきます。
組織として知識や技術に長けているよりも協調性をとても求められる時代となっています。
アスリートやコーチとのコミュニケーションも大切です。
トレーナーとしての知識
プロスポーツトレーナーとしての知識として(メディカル)
・医学知識
・治療理念
・テーピング理論
・ドーピング知識
・競技特性
・評価やリハビリ
このようなことがしっかりと分かっている方が強みとなります。
トレーナーとしての技術
技術も知識としてもそうですが自分の専門の資格に関することは熟知すべきです。
・治療技術
・競技特性に対応したアスリハ
・テーピング
・ストレッチ
・身体組成測定
・応急処置
このような技術に磨きをかけて現場で活かせるようにする必要があります。
プロトレーナー経験値
プロスポーツトレーナーとしてプロチームで活動するにはやはり経験値がものを言います。
プロはスタッフの公募をすることは稀なケースです。
人からの紹介が多い分野となりやはり信頼される人、人望の熱い方などが話がきやすい傾向があります。
経験豊富で対応力があれは可能性は高くなります。
若手の方は積極的にそのステージで活動している方とコンタクトをとって紹介してもらえるような振る舞いをすることです。
年代別カテゴリーの選択と特徴

プロチームには各年代ごとのカテゴリーがあります。
トップチームはもちろん花形ですがあなたにとっての適正があります。
経験値が少ないとマイナス評価となってしまうこともあり、どのタイミングでどのカテゴリーがベストなのかは個人差が大きいです。
プロチームに所属していることでタイミングや欠員によって昇格したりと別カテゴリーでの活動のチャンスもあります。
各カテゴリーではトレーナーとしての対応も全く異なってきますのでどの分野がやり甲斐や生き甲斐があるのか、自分自身の適正にマッチしているかも見据えていくことは実際の現場を見学したりインターンなどの経験が生かされると思います。
プロチームのトップチーム
トップチームは大人の選手の対応となり、選手によっても年俸も異なり結果を求められる分野です。
プロスポーツトレーナーとしての関わりとしても特化して治療やコンディションをその時の最も最高な状態に仕上げて試合に備えていく形となります。
遠征や試合数も多い事、選手によっても出場時間が異なることで調整方法も異なってきます。
治療の頻度も他カテゴリーよりも大幅に増加してOFF日でも治療や病院への帯同と休みとしての予定は立てられないレベルにもなってしまいます。
その反面トップチームでは年俸も上がりやすく結果や成果としても収入に反映しやすい点がメリットで、スポンサーやサプライも含めて環境面でも優遇されます。この辺りはチームによっても大きな違いが生じてしまいます。
トップチームは選手の対応もかなり難しい点があります。
気遣いは他カテゴリーよりも圧倒的でメンタルも消耗されやすく我慢すべき点も多いことがあります。
プロチームのU18(高校生世代)
U18は高校生なのでトレーナーとしても強化を最も重視すべき年代で伸び代も大きく、サポートによっての成果や結果も出やすい領域です。
治療よりも予防に力を入れて、競技特性を理解して対応していくことです。
高校生なのでまだまだ未知な領域も多く、選手のメンタルサポートも必要となります。
チーム対応だけでなく、個人対応もしっかりと行い個性としての能力を発揮させることにも力を入れるべき年代です。
スタッフのマンパワーが少ない傾向なのでトータル的なプロスポーツトレーナー要素が必要となってきます。
プロチームのU15(中学生世代)
中学生の年代はまだまだ成長期の段階なので成長痛や競技特性で起こりやすい怪我の予防や対応、さらに動作習慣の改善など見る視点も細かくなってきます。
急激に身長が伸びたりと変化しやすい時期であり、好きな競技に対しては一生懸命活動する反面、セルフケアをおろそかにして悪化させやすい時期でもあります。
教育や指導を主としたチームとしての組織の対応に力を入れていく必要が高い点もあります。
個人によっても差が大きく、自我が形成されつつも保護者ありきの年代です。
保護者との関係性も重要となります。
プロチームのU12(小学生世代)
小学生は未経験が多く、全てが新鮮な初体験の繰り返しです。指導も大変な点は多いものです。
わからなくて当たり前、できなくて当たり前という前提での対応となります。
純粋でピュアな子供たちからはエネルギーをもらうことも多く、やり甲斐は十分あり子供が好きな方にとっては苦にならないことでしょう。
小学生の場合、毎日の活動ではないことが多いのでその他の業務としてスクール事業と兼務することもあります。
この辺りは収入面での不安定は所属先で十分ありうることなので理解しておく必要はあります。
プロスポーツトレーナーの心得

私自身プロチームで24年間活動してきました。
そのあたりからプロスポーツトレーナーとして知っておくべき点をいくつか紹介していきます。
プロとしての人間力
チームにとって問題児はいくらスキルが高くても不必要となります。
協調性やコミュニケーションを円滑にできる方が必要とされます。
チームにとってはトレーナーは正直脇役であり、主役は選手とヘッドコーチになります。
和を乱さない、空気感を乱さない方がスキルよりも必要とされる時代となっています。
プロチームでは公募での人材募集はあまり行われず、必要な人材は引き抜きです。当てがない場合は売り込みの中から面談して適正者と年俸によって決定されることが多いものです。
プロスポーツトレーナーというポジションは選手の健康や怪我の対応として特に予防させていくことがとても重要です。
そのトレーナーによって怪我が大きく減少すれば高く評価されますが、結果としては判断されにくいものです。
採用されること、年俸をあげたいなら信頼される言動と行動を心がけていくことです。
表面的な部分だけでは仮に契約できても途中で解雇や1年で契約満了となって再び就職活動となってしまいます。
プロトレーナーの健康管理
選手の健康を管理するものが体調を崩しやすいのでは正直説得力がありません。
まずは自らの健康をしっかりと管理して病気をしない体を作ることです。
健康あっての活動です。
心身ともに良い状態で活動できるように学生時代から鍛えておくことはとても大切な点です。
はっきり言ってプロチームでプロスポーツトレーナーが病欠では選手から馬鹿にされてしまい、スタッフからは呆れてしまいます。
体力、気力が必要な肉体労働なのがトレーナーの業務です。
プロスポーツトレーナーの契約形態
プロチームと契約する際の契約形態がいくつかあります。
・正社員・・・社員としての活動で解雇はされない反面、部署異動があって業務の選択肢はできない
・契約社員・・・最も良くない契約です。低収入で契約満了で終了してしまうケースもあります
・業務委託・・・金額の変動がなく決まった仕事をこなす関係性
・プロ契約・・・年俸だけでなく勝利給などの付加価値がつきます
・法人契約・・・個人契約ではなく法人として契約することでメリットが出るケースがあります
契約はチームの要件や個人の提案などで変更可能です。
そのほかにもエージェント契約して代理人を立てて交渉する方法もあります。
自分で条件内容を先方と交渉できないケースでは有効で個人では自分でチームを探す必要がありますが、代理人だとエージェント次第ではうまく契約できる可能性もあります。
個人とエージェントではお互い一長一短な点があります。
移籍と引っ越し
プロチームの契約は1年契約が一般的で、チームにとって必要と思われれば継続交渉の対象となります。
しかし、もっと良い人材や金額などの条件によっても契約更新に至らないケースもあります。
プロスポーツトレーナーにとって毎年交渉する点、チームを探す必要が生じる点は避けられないこととなります。
安定したいのであれば社員契約で進めることもできますが収入が大きく向上することがない点は理解すべき点です。
プロとして活動したいのであれば全国を対象とすべきです。
全国どこでもいく覚悟がなければ自分で可能性を低下させてしまうこととなります。
プロスポーツトレーナーもチームを移籍することは非常に多く、引っ越しもつきものです。
私は7年間で10回引っ越しをした経験があります。
これは極端なケースでありますが、私の場合は海外で活動した経験もあるので日本でも拠点を確保する必要があり、引っ越し回数も多くなってしまった現実があります。
引っ越しでは荷物もそうですが、やはり敷金・礼金・手数料がかかるので大きな出費となります。
引っ越し代をチームに請求して対応してもらうことも条件面に入れたい点です。
プロチームでの労働環境
プロスポーツトレーナーの業務はチームによっても大きく異なってきます。
練習時間によっても拘束時間が異なり、チームの環境で大きく変化します。
チームやカテゴリーによっては夜の活動も十分あるので生活スタイルも一変します。
トップチームではOFF日に病院帯同や治療など業務はつきものです。
予定が立てられずアクシデントに対応できる準備が必要となってしまいます。
事前にチームの詳細を確認したいのですがこの辺りはチームの環境やヘッドコーチによっても変化するので曖昧な点なので確認が難しいのがプロ組織です。
まとめ
今回は、プロスポーツトレーナーになるための資格と必要なスキル解説!というテーマで紹介してきました。
【まとめ】
・あなたがフィジカルとメディカルのどちらで関わりたいのか
・どの資格を取得して活動していきたいのか
・どの学校に行けばいいのか、さらにもう一つ資格取得すべきか
・知識と技術も大切ですが人間力をプロチームでは最も評価する
・どのカテゴリーが適正なのか現場経験を積んで確認しよう
・プロチームとしての心得を理解して可能性を高める
プロチームのトレーナーになるには自分自身の将来像やベースとなる資格を理解して目的を明確にすることで道がひらけていきます。
さらに目標としているステージで実際に活動しているトレーナーとコンタクトを取り信頼関係を気づくことでステップアップして可能性は高まっていきます。
一般公募がとても少ない領域なのでいかに自分自身でアクションを起こして熱意を持って進んでいくかです。
諦めないこと、さらに一歩踏み込むことで道が開けていけるものです。
プロで活動したいという想いを発信していくことでよりネットワークが広がっていきます。
この記事が参考になれば幸いです。
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