スポーツ選手は試合や大会になると体へのダメージが大きくなります。
目的の試合に対して日々練習を実行して体を酷使して乗り越えていくにはいかに回復をさせて次に備えるかという点もとても大切です。
激しい運動後にどのようにリカバリーしていくかもテクニックの一つとなり、自分自身でできることや人に施してもらった方が良いケースもあります。
今回はプロが実際に行っているリカバリー方法やリラクゼーショントリートメントは有効手段の一つなので解説していきます。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして24年間活動してきました。
毎日プロ選手にトリートメント、治療、リハビリ、テーピングなど選手のサポートを任される役割として活動しています。
U15/U18と学生にも関わらせて頂いています。
活動の源は食事をしてエネルギーを与えて、運動前の準備を行い、競技を良い状態で実践し、リカバリーをして体を戻して、エネルギーを補給して、休息して維持向上していくという流れあります。
全てが大切ですが、今回はリカバリーに関して紹介していきます。
【結論】
・プロが実践しているリカバリー方法を知り活用できるものは実施してみよう
・リラクゼーショントリートメントには心身に18個の働きかけがある
・リラクゼーショントリートメントには7つ価値がある
・リラックス法を取り入れて心もリカバリーすると体の反応も良くなる
リラクゼーショントリートメントの定義
リラクゼーショントリートメントとは、身体を心身ともにリラックスさせ、筋肉の緊張を和らげる施術を指します。
主にマッサージやストレッチを通じて行われるトリートメント。
以下のような働きがありセルフケアでの限界をリカバリーできるスポーツ選手にとっても、一般の方の肉体疲労に際しても心身ともに良い働きかけをします。
ストレス軽減 | アンチエイジング |
筋肉の緊張緩和 | 皮膚の健康促進 |
リラックス効果 | 内臓機能の活性化 |
血行促進 | 気分の改善 |
睡眠の質向上 | 自己肯定感の向上 |
心身のバランス調整 | 感情の解放 |
疲労回復 | リフレッシュ |
集中力向上 | 運動後のリカバリー |
免疫力向上 | 疲れや痛みの軽減 |
身体にとって多くのリカバリー項目に働きかけできるのが良い点です。
プロ選手が行うリカバリー法
プロ選手が実際に練習後・試合後にどのようなことを実施してリカバリーしているのか紹介していきます。
アイスバス
アイスバスは氷水の中に入る半身浴です。かなり冷たい中に入って足全体を一気に冷却して、筋肉の火照りを解消していくものです。
日本ではまだまだ一般的には少ないですがプロ選手などのトップアスリートでは活用している方法です。
特にアメリカでは一般的で大学では設置されていることが当たり前のような環境となっています。
氷が大量に確保しなければならないので、大変な面もありますが、練習・試合・遠征先でも必ず設置して対応しています。
コンプレッション
空気の圧力でポンプ作用を起こして血流の流れを良くして疲労物質を除去する目的で使用します。
メドマー、ノーマテック、ハイパーアイス、リバイヴなどのメーカーがあります。
私も個人的にリバイヴを持参していますが、選手も個人で持参して自宅や遠征先でも活用しています。
冷却と圧迫を同時に行えるのがゲームレディという機器もありチームでも活用しています。
アイスバスは冷たすぎてしまうと長時間実施できない選手もいるため、圧迫と冷却を同時に行える点も良いです。
トレーニング
プロ選手は試合後にトレーニングを実施する選手が多く、クールダウンの目的でトレーニングを軽くやる場合と次の試合までの間隔が短い際に筋肉に刺激を入れて調整します。
ストレッチ
試合後は筋肉も疲労して硬く縮まってしまうのでストレッチで元に戻すようにすることで筋緊張を緩和させることができます。
セルフでストレッチしますし、トレーナーが対応することもあります。
交代浴
暖かい湯と水風呂を交互に入ることで疲労回復しやすくなります。
暖かい湯(3分)→水風呂(1分)を繰り返絵して最後は暖かい湯で上がると良いとされています。
マッサージ
筋肉にも深層と浅層があり、マッサージによって自分では改善できない張り感や疲労感が強い際に自分自身では行えない状況もあるかと思いますので人の施術を受けることも必要となります。
マッサージには上記のリラクゼーショントリートメントの定義でも紹介した18個の働きがあるので心身ともに回復できる手段です。
リラクゼーショントリートメント7つの価値
人によってもマッサージの手技や圧の加減、手順など異なるので一概には伝えられなく、実際に体験しての相性もあるかと思います。
私自身長年プロ選手の対応をしてきてリラクゼーショントリートメントには7つの価値があると考えています。
1.運動後の筋肉疲労への影響
運動後は筋肉は微細な損傷が起こり、疲労も蓄積されて、疲労物質が滞ってしまうため、トリートメントで修復や疲労回復に良いアプローチとなる。
2.血行促進の効果
血行を良くすることで疲労物質を運搬して、酸素を取り込みやすくすることで回復促進につながる。
3.心理的ダメージの回復
勝負の世界うまくいく時もあれば、ミスを犯すこともあり、ミスと好プレイは紙一重でもあります。
選手はメンタル的なダメージとなってしまうこともよくあることです。
プラス思考に導くこともトリートメントの役目の一つであり、いかに受け止められるかという点も価値があります。
4.怪我の予防
怪我にはアクシデントで防げないものと予防できることに分類できます。
特に筋肉系の怪我は防げる要素はあるものの疲労の蓄積によって発生してしまうケースも多いものです。
いかにダメージを改善してリカバリーして問題となっている部位を確認するかもトリートメントの一つの目的です。
いつもよりも張り感が強かったり、違和感がある部位、硬さが出ているなど本人には気づきにくい事を伝えてあげることも役割となります。
5.持続的なパフォーマンス向上
疲労によって知らず知らずのうちに蓄積されるとスタミナに影響します。
前半は問題なくても後半にバテやすくなる、力が入りにくくなるという点が顕著に現れてきます。
蓄積させずにパフォーマンスを持続できるかという点でも、ちょっとした変化や少しづつの蓄積によってダメージとして積み重なってきます。
すると動きの範囲が狭くなったりするので可動域を出すことが大切となります。
6.興奮した体を鎮める
練習や試合では勝敗での緊張感や脳疲労も起こり激しい運動後でも興奮状態が持続してしまい、眠れないという選手も多いものです。
副交感神経の働きを促進させて心身ともにリラックスへ促すこともできます。
7.筋膜を緩め関節の遊びを作る
関節には遊びの部分があります。そのためスムーズに動くわけです。
疲労によって筋肉が緊張するだけでなく、筋膜も縮まってしまいます。
そうなると関節のあそび部分が減少してしまい、怪我をしやすくなってしまうわけです。
車のハンドルも遊びがあるから滑らかなカーブができ、ゴーカートではハンドルの遊びがないので急に曲がってしまいます。
車で例えましたが関節のゆとりがないとダメージを受けやすくなってしまう状態となり、怪我の程度が重症化しやすくなってしまうというわけです。
大きな怪我の原因
リラクゼーショントリートメントだけのものではありませんが、治療とトレーニングとリスク軽減の動作習慣によって怪我のリスクを減らせることができます。
関節の可動域だけでなく遊びを作る
よくマッサージしてもすぐ戻ってしまう、意味がないと言われますが本当にそうでしょうか?
疲労の蓄積によって筋膜の癒着が起こり、動きが悪くなると、別の部位でも張り感が関連して出たりします。
関節の可動域を改善できたとしても突っ張り感が残ってしまうケースもあり、これが違和感となり、怪我へとつながってしまいます。
関節の可動域と関節のあそびを確保することで怪我のリスクは大きく減少できると実感しています。
プロ選手で24年間前十字靭帯損傷なし
私はプロバスケチームで24年間活動してきました。それ以外でも高校、大学、社会人、プロと日本代表、海外のチームなど多くのチームに関わってきました。
トリートメント、予防スキル、トレーニングなどによってバスケットボールで多い膝の怪我である前十字靭帯損傷は男子では0名と防ぐことができています。
もちろん運もあるのかもしれませんがトータルで30年程度活動していますのでトリートメントの影響力も一つの要素かと思います。
触診によって硬結部位を探知する
トリートメントやストレッチで獲れる情報として日々の小さな変化を確認することです。
上記の前十字靭帯損傷にはいくつもの要因があるため何が問題なのかは確認しずらい点があるのも事実です。
そのため、筋肉を触れて問題となる点があるのか、筋肉の走行のスムーズさ、ストレッチ感などで状態を確認できる点は多いものです。
トリートメントだけが目的ではなく、予防するためのチェック、起こりうる現象の把握などシーンによっても使い分けできる点もあるので選手の体を確認するということは大切となり、セルフケアだけで任せてしまうと防げる怪我も発症させてしまうということにつながってしまいます。
触ってみた事で得れる情報があるわけです。
リラックス方法
自分自身でリラックスすることでメンタルリフレッシュすることも大切です。
病は気からと言ったり、スポーツでは心技体とよく活用する表現です。
心が満たされなければ体が良い反応をしないということです。
そのためにマインドセットできる習慣を取り入れると良いです。
手軽にできるリラックス方法いくつか紹介しますので、自分自身で相性の良いものを取り入れてみてはいかがでしょうか。
・深呼吸や腹式呼吸などの呼吸を整える
・背伸びやストレッチなどの体を緩める
・ぬるま湯で入浴する/半身浴
・質の良い睡眠をとる/30分早く寝る
・自分にとって心地良い音楽を聴く
・香りを楽しむ
・自然の中を歩く
継続することが良い習慣となってルーティン化していきます。
無理なく負担なくできることを実践して義務感なくリラックスしてほしいですね。
まとめ
今回、激しい運動後の回復にリラクゼーショントリートメントがもたらす7つの価値というテーマで記してきました。
【まとめ】
・プロが実践しているリカバリー方法を知り活用できるものは実施してみよう
・リラクゼーショントリートメントには心身に18個の働きかけがある
・リラクゼーショントリートメントには7つ価値がある
・リラックス法を取り入れて心もリカバリーすると体の反応も良くなる
あなたのスポーツ活動のリカバリー対策に役立てていただければ幸いです。