ストレッチにもいろいろな方法があります。
症状や体の状態からどのストレッチを実施した方がいいのかも異なってきます。
スポーツの現場では特に学生ではセルフケアの徹底を指導していますが、実際には自分自身でやるストレッチとセラピストによるストレッチでは大きな違いが出ます。
だからと言ってセルフストレッチをやらなくていいということではなく、メンテナンスとして専門家の治療としてのストレッチを受けることで自分自身では伸ばす事ができない部位や新たな感覚ややり方も参考になる事が多いかと思います。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動して24年ほど経ちました。
毎日プロ選手にストレッチを実施しています。
今回はストレッチに関して記していきます。
【結論】
ストレッチにもいろいろなやり方があります。
・静的ストレッチ・・・反動をつけずにジワジワ伸ばすストレッチ方法
・動的ストレッチ・・・筋肉や関節を動かしながら行うストレッチ方法
・バリスティックストレッチ・・・反動を使って動きをよくしていくストレッチ方法
・PNFストレッチ・・・筋肉の収縮を使って対抗する筋肉を機能的に伸ばすストレッチ方法
症状や状況によってストレッチやムーブメントを使い分けて対応することで効率よく筋肉の柔軟性と可動域が獲得できます。
ストレッチにはやり方やタイミングによっても使い分けができ、7つのポイントがあります。
その辺りを解説していきます。
目次
筋肉の柔軟性を高める
筋肉は使うことで硬く縮んでしまう性質があります。
筋肉には3つの収縮形態があります。
筋肉は上記のように3つの使い方があって活動によって使い方も異なりダメージにも影響します。
例えばデスクワークの肩こりは長時間肩をすくめた状態で維持する事によって疲労してシコリとして肩こりが発生しているケースがあります。
・肩の上部では縮めているので求心性をキープ
・背中は前屈みになっているので遠心性をキープ
・肘周囲は固定しているので等尺性をキープ
このような部分によっても使い方が異なってダメージとなって筋肉を持久的に酷使して起こっているわけです。
ストレッチによって縮んだ筋肉を元の状態に戻す事によって柔軟性が回復します。
筋バランスを整えて姿勢の保持
筋肉は前側/後側/内側/外側と骨についていてバランスを取って姿勢を保持しています。
これが動作習慣のクセによって筋肉が偏った使い方をすることで骨格のバランスが崩れた状態の姿勢でバランスを取らざるを得ません。
このようなアンバランスや部分的に酷使することで怪我や痛みの原因となって体に反応してきます。
筋肉の部分的な硬さをストレッチしてよくする事で姿勢の保持や良いバランスを持続しやすくなります。
血行促進してリカバリー
筋肉は疲労すると血流も悪くなって良い栄養分がいき滞ってしまいます。
すると乳酸などの老廃物が筋肉中に溜まってしまい、硬さを生み出してしまいます。
ストレッチして関節や筋肉を動かすことで深部にある筋肉にも刺激を与えて活動することで血行も良くなって自然治癒力の向上にもつながります。
毎日のように継続することで習慣化されサーカディアンリズムとも言いますが体内調節機構が活性化されて疲労回復、健康維持にも良い働きになっていきます。
可動域の改善向上
筋肉が硬くなってしまうと関節の動く範囲が減少してしまいます。
関節の動く範囲を関節可動域と言いますが、ストレッチをする事で動きが改善して良くなっていきます。
自分自身で伸ばせる筋肉と自分では伸ばしきれない部分の筋肉があるので自分自身で行うセルフストレッチはとても大切ですが、専門家にやってもらう治療ストレッチでより可動域が改善して動きが軽快になっていくこともあります。
やはり専門家に施してもらうと解剖学を基に筋肉の動きを再現しながら細かい筋肉までアプローチできることは大きな利点となり新たな感覚を体験できるかと思います。
筋肉を温めて交感神経活性化
運動前に行うストレッチに有効なのが動的ストレッチです。
ダイナミックストレッチとも言います。
動きをつけて筋肉を温めて交感神経の働きを促進させる目的もあります。
そして可動域を広げていきます。
さらに反動をつけて行うストレッチがバリスティックストレッチと言います。
関節の可動域を出して反動による伸張力を活用して筋の弾性を高める働きがあります。
副交感神経でリラクゼーション
運動後に行うストレッチに有効で静的ストレッチです。
ジワジワと伸ばすように反動を使わないで伸ばすストレッチとなりスタティックストレッチとも言います。
リラックスした状態で使った筋肉を元に戻す目的に使う方法になります。
ただし、実際には動的なストレッチも合わせて可動域を元に戻すケースもあるので、副交感神経を優位にしながらもリラックスさせて動かしながらストレッチする方法も活用できます。
ストレッチにもやり方や手段、個人差によっても活用する手技が異なってきますので専門家の腕の見せ所でもあります。
自動運動と他動運動の違い
ストレッチも自分自身で行うストレッチをセルフストレッチと言います。
セルフストレッチの場合、自分自身で動かすことを自動運動と言いますが、筋肉の脱力ができず可動域を広げにくいこともあります。
それに対して他動運動は自分自身は脱力して身を任せた状態でセラピストに動かしてもらったりストレッチしてもらうことで有効に伸ばす事ができ、可動域を獲得することができるケースもあり、非常に効率的に伸ばす事ができます。
選手にトレーナーがストレッチするケースなどが他動運動を合わせたストレッチとなり筋肉や関節などを良い状態にして競技させたり、クールダウンに活用したりします。
特殊なストレッチとしてPNFストレッチというものがありますが、筋肉に抵抗をかけることで逆側の筋肉が弛緩する相反性神経支配の利点を活用して柔軟性を高める方法もあります。
可動域がかなり効率よく広がるのでプロ選手にはよくPNFストレッチも活用しています。
違い | 自分でやるストレッチ | 治療としてのストレッチ |
---|---|---|
目的 | 柔軟性やリラックス | 痛みの緩和やリハビリ |
実施者 | 自分自身 | 専門家/セラピスト/トレーナー |
負荷 | 自己調整 | 客観的な評価に基づいてコントロール |
スケジュール | 自由に設定 | 定期的な通院が必要となり改善 |
テクニック | シンプルな方法が多い | 特殊な技術や自分自身では無理な動作 |
効果の期待 | 即時的なリラックス効果 | 治療として段階的な回復を目指す |
安全性 | 個人のリスク管理に依存 | 専門知識に基づく安全性有り |
まとめ
今回ストレッチについて紹介しました。
ストレッチにも様々ありシーンによって使い分けると有効的に体に良い反応を与える事ができます。
【まとめ】
・静的ストレッチは副交感神経を優位に働きかける事ができる
・動的ストレッチは交感神経を優位に働きかける事ができる
・セルフストレッチをベースとしつつも自分自身でストレッチできない部分もあります。
・治療ストレッチをシーンで上手く活用して筋肉の柔軟性を回復させ、関節可動域を広げて良い状態にすると健康維持増進に活かされる
・専門家にストレッチをしてもらうと新たな気づきや今までにない感覚や動きを獲得できることが期待できるので治療としても活用しましょう
セルフストレッチをベースとして、メンテナンスで治療院等で専門家によるストレッチを実施すると相乗効果を期待できます。
今回の記事が参考になれば幸いです。
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