スポーツ競技の中でも膝前十字靭帯損傷は手術の選択肢となってしまいスポーツ選手にとっては大きな分岐点にもなりうる外傷となってしまいます。
特に高校生では活動期間にも制限があり、その後の進路にも大きく影響してしまう点もあります。
しかし、前十字靭帯は手術してリハビリをしっかり行うことで競技復帰できるケガですので安心してください。
前十字靭帯は手術をする時期の選択はあるものの、6〜10ヶ月程度のリハビリ期間となり選手のメンタルも大きな変化を伴ってしまう。
大きな怪我によってどのようにメンタルをコントロールして再び競技復帰していくかは個人差もあり時間も必要になることもあります。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動しているベテラントレーナーです。
毎日プロ選手のメディカルとしてのサポートをしています。
小学生から大人まで各年代のカテゴリーも対応してきましたので、その経験から選手をポジティブに切り替えて競技復帰させるかという役割も対応してきました。
怪我を受傷してから競技復帰まで様々な心の変化を経験していくと思います。
怪我をしたからこそ学べること、経験できること、今までと違った視点で競技と向き合えること、裏方の役割の方など多くのことを学べるチャンスだと思っています。
スポーツ活動中は競技のごく一部分しか見えていない景色のため、怪我をしたことで競技の奥深さを実感し、人間力として成長し、医科学知識を身につけたトレーニングやコンディショニングを活かして効率性の高い練習に打ち込んで、以前の自分自身よりもパフォーマンス力をつける大変貴重な時間の過ごし方を体験できると考えています。
【結論】
・前十字靭帯損傷は手術とリハビリで競技復帰できます
・怪我をして絶望感からどう脱出して次なるステップにスイッチを入れるか
・競技復帰に際してポジティブにマインドセットして取り組んでいくか
・本当に復帰できるのかという不安要素に対応するためのモチベーション維持向上
・日々リハビリに取り組む努力を継続していくと体の成長を実感していく境界線と手応え
・順調から停滞期となる80%以上に向上させるイメージと体のギャップへの焦りとイラダチ
・競技できる喜びと周りへの感謝の気持ちで人間力向上
・医科学の知識と経験値を活かしたこれまで以上のパフォーマンス力を得て完全復帰へ
怪我をしたことを大きな財産となるよう、今回私も知識を出し切ってお伝えしたいと思います。
目次
受傷後の絶望感からの脱出

大きな怪我をしてしまい、プレイできなくなってしまうと、その後の復帰しているイメージもできないため絶望感に襲われてしまいます。
特に以下のようなタイプの方は強くメンタルがダウンしてしまいます。
・その競技だけがやり甲斐生き甲斐となっている
・怪我の経験がなくどうしていいるの分からない未知の領域
・復帰のイメージができなく今後の不安
・自分はダメだと自己嫌悪感
このようなことを感じてしまうと思います。
受傷して挫折感を味わう
私自身、前十字靭帯損傷ではありませんが高校2年の冬に腰椎椎間板ヘルニアとなり足の痺れもひどく立ちションすらできないレベルとなり、チームでは主力で活躍できていた中での長期離脱となり高校3年時はほぼプレイできない状況でしたので理解しています。
さらに当時受診した医師より『あなたは今後一生運動はできません」と言われてしまったので大きな絶望感を長い時期立ち直れなかった経験もあります。
ちょっとした一言が相手には大きなダメージとなってしまうので気をつけなければいけません。
私の場合幸いその言葉が復帰してやると反骨精神に変わっていったので結果的にはプラスとなりましたが、仲間などの身近な存在が大きな原動力となっていきました。
たくさんの選手をサポートしてきましたが怪我をして目標としていた大会に出場できず、長期離脱してしまうと自分自身の事だけでなくチームメイトにも影響してしまいます。
すぐに割り切って復帰に向けて切り替えることは本当に難しい事だと理解しています。
どのように対応するか、言葉がけするかは難しい点ですし、個人的な性格や環境によっても異なってくるものです。
時間の経過と仲間のサポート
選手の絶望感が強いと競技から離れてしまう行動をとってしまう選手もいます。
選手によっては自分がプレイできず、周りの選手が練習している姿を見ることでより辛さが増してしまうこともあります。
しかし競技から離れ過ぎてしまうと戻りにくくなってしまうこともあり、その時に大きなサポートしてくれるのがチームメイトです。
競技から離れることで
・また競技したくなるという想いが出る
・離れ過ぎてしまってチームに戻りたくても戻れなくなってしまう
このような分岐点にもなってしまいます。
時間の経過もマインドセットするための貴重な時となりますが、離れすぎるとネガティブ思考が強くなってしまう点もあります。
仲間との絆は大きな財産となり、お互いが成長できるパートナーでもあります。
自分1人ではなく一緒に時間を共有して良い刺激をお互い与えていく事はポジティブ思考に変化していきます。
自分史のストーリーとして語れるように
前十字靭帯損傷では仮に競技復帰するしない関わらず、その後の人生において膝関節の変形に影響するため手術が最善の選択肢となります。
スポーツ関係に力を入れている病院へ受診すると医師やリハビリスタッフも前十字靭帯は競技復帰できることが当たり前のような感覚で対応してくれます。
挫折感の心理状態でも、しっかりとやれば復帰できるんだというメンタルの変化もつながりやすいです。
リハビリ室を見ると小さい子から高齢者までたくさんの方がリハビリに励んでいます。
自分の怪我よりももっと重症の患者さんも多くいて努力している姿を目の当たりにするでしょう。
同じ前十字靭帯でリハビリを行なっている方もいるので会話することで良い刺激を得ることもできます。
手術で入院すれば同じような怪我した方々と接することも多くなりやるべきことが明確化され強い心を得ることができ、他の人が経験していない手術や入院生活を語れるようになります。
あなたの人生の挫折から復帰したというストーリーが生まれます。
TVのドラマや映画でも失敗やどん底から這い上がり活躍するストーリーが共感を呼びます。
怪我をしてしまったことは残念ではありますが、このことで仲間が経験していない事、手術という大きな経験を手に入れて人間性の色が増していくわけです。
競技復帰したいというポジティブ思考

時間の経過によって競技復帰するんだというマインドに変化していくと良い傾向です。
しかし、プラス思考になれない環境下にいる選手も少なからずいます。
家族や友人の力も必要なこともあるでしょう。
怪我をする以前のチームや個人での競技レベルによる悩みなども大きな分岐点での影響があります。
この辺り難しい点でもありますが、現在の日本では学校の部活動以外でもクラブチームなど競技を行える環境は増えつつあります。
環境を変えることも選択肢の一つとして考えることもあなたにとって最適で希望になることです。
後悔せずに次に進むか、その為には何がベストかを家族とも相談してほしい点です。
自分自身と向き合う時間
怪我をした状態から競技復帰まで何をすべきか自分自身でも考えていくことはとても重要です。
今まで競技に関してはコーチが練習メニューや戦術などを与えてくれていましたが、怪我のリハビリは全て導いてくれるわけではありません。
病院へリハビリへ毎日行ければ良いですが、限られた時間の中では難しい問題や課題もあります。
自分自身で出されたメニューと状態を確認して対応していくことになります。
PDCAを実行しよう
Plan (計画)・・・病院でのリハビリは患部を中心となり、競技から離れ過ぎずできることを計画する
Do (実行)・・・計画したことを実行していく
Check (評価) ・・・定期的にリハビリも含めて進捗状況をチェックする、他者にも評価してもらう
Action (改善)・・・修正点や改善点としてフィードバックして再度計画を立てる
PDCAを回していく事で大きく脱線する事なく微調整で向上することができる
人には変えられるものと変えられないものがあり、どこにエネルギーと時間を活用していくかで効率や成果が異なってきます。
変えられるもの | 変えられないもの | |
時間軸 | 未来(これからの行動) | 過去(怪我をしてしまった) |
人間 | 自分(マインドセット) | 他人(人のコントロール) |
日程 | 練習内容、自主練習、リハビリ、学習 | 大会日程/試合の時間/場所 |
取り組み | 行動力、継続力、調整力、モチベーション | 置かれている環境面や天候 |
変えられないものに対して不平を言っても変えることは難しい。
同じエネルギーを使うのであれば、変えられるものに力を入れて行動すること。
自分自身と向き合う時間は自分の思考と行動を変えられるチャンスである。
怪我をしたことで得れること
前十字靭帯損傷という怪我をしたからにはその経験値を競技に活かすことで人間力をプラスしてカムバックしてほしいです。
・怪我をした事で得たメンタルの強さ
・感謝する気持ちをプラスに変えてモチベーション維持向上
・競技を行える喜びから努力を継続する粘り強さ
・違った競技への視線と価値観をエナジーに変える
・怪我によって得た医科学知識を競技に活かす
・リハビリ中にしかできない細かい強化やファンダメンタル
・リハビリ中に得たセルフケア等のコンディショニング調整力
さらに個人的に得た知識や経験値など、まだまだたくさん得れること、活用できることはあります。
良い意味で変わったと言われるように意識改革をして自分自身だけでなく、チームメイトにもリスペクトされる存在になれるはずです。
強みと弱みの把握
自分を見つめ直す機会にはぜひ自分の強みと弱みを書き出すとさらに自己分析ができ、取り組みや行動に活かすことができます。
・あなたの強みはなんですか?
・あなたの弱みはなんですか?
個人によっても異なりますが、強みを伸ばしてスペシャリストになる事は大きな財産となり、弱みを克服することで大きな自信へとつながっていきます。
強み、弱みを書き出して、それらをどのようにして向上させていくか計画を立てる事です。
小さな目標から中目標、大目標と分類してまずは小さな成功体験を積み重ねる習慣をつけること。
リハビリでも今日はこれをできるようにしよう!
こういった小さな成功体験が自信へとつながり、習慣化して努力するから当たり前となり継続できるようになり最終的に目標を達成していけます。
成功への方程式として
情熱 ✖️ 能力 ✖️ 考え方 (+/-)
と言われています。
考え方がプラスならあなたのやったことはプラスに働きますが、考えがマイナスならやったことはマイナスに働いてしまいます。
成功するには考え方をプラス思考にすることが行動につながるわけです。
知識と経験値を今後に活かす
リハビリにしても競技にしても知識と技術があるはずです。
知識と技術を向上させるには取り組む姿勢が最も大切です。
モチベーションを維持向上する為には自分1人ではなかなか何をすればいいのか、やっていることは正しいのかわからない事や壁にぶつかります。
そんな時には先人の知恵となる方のアドバイスはとても参考になります。
・チームメイト
・先輩
・コーチ
・トレーナー
・同じ怪我をしている人
その中でも競技に関わっているトレーナーやスポーツ選手を対応している理学療法士の方は何をやればどういう結果につながるかわかっています。
あなたを効率よく競技復帰に向けて導いてくれるはずです。
知識+技術+姿勢が向上心を生み、先人の指摘やアドバイスがモチベーション維持向上として姿勢の原動力となります。
痛みや競技復帰への不安感

良いマインドを持ってリハビリを行なって行っても、なかなか思ように回復しない時期や痛みがあると不安になってしまうことは実際に起こってきます。
本当にこの痛みは改善するのか、競技復帰できるのか、このように思うことはごく自然の現象です。
あなたにとっては初めての経験であり、未知の領域で予想ができなくて当たり前なのです。
この時に焦ってモチベーションダウンする前にリハビリを対応してくれる方に色々と話すことで解決できることもあります。
レベルの高いトレーナーは事前に起こりうる現象を事前に伝えてくれることもあります。
聞かないと知れないことも多い点もあります。
焦らずに話をすることから行動しましょう。
現状の把握による不安
前十字靭帯損傷から再建術を行なって通常の日常を取り戻すまでにも1ヶ月以上かかってしまいます。
手術をして靭帯が安定するまでの期間、傷口の組織修復にも時間がかかるわけです。
さまざまな反応があり、その都度初体験なわけですから不安になることは当たり前です。
少しづつですが改善していく時期と急激によくなる時期もあります。少し悪化してしまうことも時にはあるかも知れません。
指示や指導に対してしっかりと行動することが大切であり、中途半端は自分自身の体にとってマイナスとなってしまいます。
前十字靭帯損傷すると筋力としてもなかなか筋肉がつかない現象が実際に起こります。
これは誰しも起こってくるので定期的に大腿周囲計などの身体組成のチェックもしておくと今後の参考データとして活用できます。
競技復帰できるか不安
特に手術をして翌日から歩行訓練などリハビリが開始されると競技どころではなく、生活にも支障が出ている現実から本当に復帰できるかという感覚になってしまいます。
前十字靭帯損傷は現在当たり前のように競技復帰できています。
怪我によって大きくパフォーマンスが低下して活躍に値しないという状況ではなく、以前と同じレベルに競技復帰することもできています。
私が関わるバスケットボールは激しく切り返しがあり、身体接触がある競技ですが、毎年のように前十字靭帯損傷がプロ選手でも発生してしまっていますが、ほとんど競技復帰することができています。
しっかりと指導に従ってリハビリを実行していくことで6ヶ月以上かかってしまうこと、病院によっても10ヶ月程度の期間をかけて復帰させる方針もあり復帰する時期は異なってしまう現実もありますが、競技復帰できています。
良い日と悪い日の差による不安
リハビリを行なっていると毎日朝起きた時の感覚を参考にするといいです。前日よりもよくなっていればリハビリしながらも回復できている証拠です。翌日痛みが増加していれば少し無理をしたかも知れないので原因を突き止めてコントロールするといいわけです。
日によってコンディションも異なるのは健康な生活でも起こるわけで患部でも同様に変化します。
天候や気候によっても変化するのでしかたがない部分ではあります。
毎日コンディションの状態把握も自分の日報を作成して評価するといいですね。
何を行うと何処にダメージが来るのかなど、記録をしておくと競技復帰した際もコンディション調整力が身につき競技パフォーマンスにプラスに働きます。
努力の継続による段階的な手応え

リハビリを毎日行なっていくことで、どんどん筋力もついて関節の動きも良くなり、今まで行ってきた努力の手応えを実感することができます。
特に2ヶ月程度経過すると日常生活では問題ないレベルとなりより強度を上げて実行できるようになってきます。
リハビリの慣れや復帰できるようなイメージも湧きつつあります。
回復している実感が湧く
筋力が回復して日常レベルでだけでなくジョギングできるようになってくると競技に対する思いも募ってきます。
しかしまだまだ不安定な段階であり、調子に乗ってやりすぎたり無茶して悪化しないようにマインドコントロールは必要です。
主観として向上している点と客観的なデータとしても大切となります。
バイオデックス等での筋力測定や身体組成や周囲計の測定による筋肥大の数値なども参考データとして活用できます。
トレーニングとしてもできることや種目も増えて楽しさも出てくるわけです。
この時期になると競技も見えてくるので競技感覚の基礎動作なども意識的に取り組んでいくと良いでしょう。
バスケットボールなどの球技では競技の感覚やボールの感触など患部のリハビリ以外でも行う必要があります。
さらに競技復帰できても実際のゲーム感覚を取り戻すまでに多くの時間が必要となるので早い段階から患部に負担がかからないようであればボールの感覚を失わないようにするなど対応していきたい点です。
バスケットボールでは椅子に座った状態や立った状態でドリブルやパスなど手の感覚は十分実行できる部分なので取り組めるわけです。
この時期だからこそ強化できること
リハビリ期間はとても長く感じてしまいます。
仲間は練習に集中して成長している中で、自分だけ取り残されてしまう感覚も起こってしまいます。
この時期にしかできないこと、時間があるからできることを取り組んで自分の強みと弱みに磨きをかけていくことは大きなプラス材料となります。
今期プロバスケ選手で右肘の脱臼から内側と外側の側副靭帯を損傷してしまい手術をした選手がいました。
利き腕の右手を手術したことで右手を全く使えない時期があり、ご飯を食べることも左手、バスケットボールのシュートやパスも左手を徹底的に練習して左手のコントロール力が大きく増加して左手でもシュートがかなり上達して技術の幅ができた選手がいます。
さらに左手の神経が研ぎ澄まされたことによって右手でのシュート力も向上する相乗効果も生まれました。
普段できないことを継続することで進化して怪我によってパフォーマンスが向上したわけです。
自分自身の可能性や能力を引き出す期間へチャレンジしよう!
医科学の知識を活かした取り組み
怪我をすると自分自身もその怪我の情報を入手し本や動画など学習する機会が増加します。
さらに専門家の解説や説明でより医学知識やトレーニング科学を身近に感じることができます。
医科学の知識を生かしたトレーニングや練習、セルフケアなどコンディショニングを効率よく実践できるノウハウを専門家から指導を受け、競技とリンクさせることでパフォーマンスに活かすことが今後も期待でき、よりハイレベルな知識と技術を身につけられるように対応力もついていきます。
努力を継続できる人こそ才能である
私は多くのプロ選手から全国の上位層のレベルを見てきました。
もちろんセンスや天才肌のタイプもいるし、身体能力の素晴らしい選手も見てきた反面、身体能力がなくともプロ選手で活躍している選手もたくさん関わってきました。
センスや才能のある選手でも努力しなければ一般的な選手よりも劣ってしまうし、プロで長いこと活躍することはできません。
努力を継続できる人こそ才能がある人材であり、自分の強みを生かした戦い方や職人技として高い評価を受けていると考えます。
イメージと身体のギャップからの焦り

リハビリも終盤に差し掛かってくると競技レベルも合わせた仕上げを行っていきます。
そして段階的にチーム練習や実践的な練習へ移行していきます。
ここにも大きな壁が2つ立ちはだかります。
・80%のレベルからの壁
・90%からの壁
競技レベルに到達していくとスピード感や感覚が今まで築いたものと実際の動きが思ようにできないギャップが生じます。
80%達成からの壁
前十字靭帯損傷のリハビリからジョギングさらに60%のスピードアップなどリハビリとしては順調にいきやすい期間でもあります。
60%から80%に向上させるのも日々の努力の成果が出やすい期間に当たります。
80%以上になるとそこからトップスピードに近い状態に上げるにはかなりの期間が必要となってきます。
・スピードを上げることによる最大筋力の増加
・スピードダウンする減速の筋力
・筋肉がしっかりとブレずに伝達させるバランス力
・切り返し動作による安定感と靭帯に対する負荷のかかり方
・不安要素もありどうしてもコントロールしてしまう防衛反応
このような要因がマインドブロックしてしまい自分では力を発揮したいという思いと行動がリンクできないケースがあります。
技術習得には技術習得の4段階という過程があり、リハビリでもスキルのために必要な過程です。
1段階目・・・知らないから知る
2段階目・・・知っているけどできない
3段階目・・・意識すればできる
4段階目・・・無意識でできる
このように技術を習得するには4つの段階を経て向上して習得します。
リハビリも同様です。
1段階目・・・リハビリの種目を教えてもらう
2段階目・・・やり方はわかっているけど筋力不足でできない
3段階目・・・徐々にできるようになってはきたけどスピードでは行えない
4段階目・・・問題なくそのメニューをできるようになっている
このような感覚で向上していくかと思います。
リハビリ成果の停滞期
80%の壁は3段階目と4段階目の境目の状況となり、ゆっくりやればできるや意識すればできるから反復練習して徹底することで無意識でもできるとステップアップしていきます。
そのため、考えることも必要ですが、繰り返して実践することも大切になっていきます。
80%からの領域は良くなったり悪くなったりしながらも少しづつ感覚を掴んで向上するリハビリでも停滞期となりやすく思ったように体を動かせない苛立ちや焦りを感じてしまう時期となります。
この方法で正解なのか未知の領域
ここで疑問や悩みが生じてしまうこともあります。
本当に元の感覚に戻れるのか、競技復帰できるのか、このやり方で大丈夫なのかと考えてしまうわけです。
人間は毎日思考を6万回くらい行っています。そして判断決断を繰り返しています。
起きてから寝るまでそのくらい思考回路が働き小さな判断の繰り返しをしています。
そのうちの 80%がネガティブな思考となりポジティブ思考は20%と言われています。
人間の感情はマイナス要素を考えやすく怒り・不安・恐怖・悲しみ・喜びがあります。
人間の4つの感情
悲しみ (ネガティブ) | 寂しさ、孤独、悲劇 |
恐れ (ネガティブ) | 不安、迷い、憂い |
怒り (ネガティブ) | 不平、不満、文句、批判 |
喜び (ポジティブ) | 感動、感謝、感激 |
いかにネガティブをポジティブに変えていくかという自分自身の思考力を養えば良い方向へもつながりやすくなるわけです。
自分自身を変えるには自分自身に気づきを与えて意識改革していく必要があるわけです。
競技感覚の低下によるミスの連発
さらに90%になると競技復帰まで近くなりできることも多くなってきます。
するとまだ体が思ったように動かないこともありミスを連発してしまうこともあります。
ここでもネガティブにならずに失敗したことをフィードバックして継続していくことで道がひらけていくきっかけが見つかってくるはずです。
いよいよ復帰やチーム練習に参加し始めると周りのスピード感やこれまで不在であったことからチームでの変化も起こっているわけです。
自分自身だけでなく、組織としての戦術戦略にもマッチしてコンビネーションなどのタイミングも特に球技では必須条件だと思います。
もう一度チームメイトから信頼されて競技活動を遂行していくには微調整に時間を要することも多々あります。
競技できる喜びと調整力

上記のような感覚もあり悩むこともあるでしょう。
しかし競技を再びできるという喜びの感情がネガティブをうわまる様に競技自体を実践している本来の楽しさを存分に楽しんでもらいたいとも思います。
今まで見えていない景色を実感
実際に競技に復帰してチーム練習など仲間と同じメニューを実施できる様になると嬉しさが実感でき、今までの努力が報われたという感覚になっていきます。
すると不思議なもので元々の感情に等しくなり、試合に出場して活躍するイメージも自然と湧いてくるものです。
根本的な動作改善もしていれば受傷時のリスクはもちろん回避できますが、100%に戻すだけでは再受傷の可能性も十分あるということになります。
前十字靭帯は再断裂してしまうことも実際にあるので、120%に仕上げる意識を持って対応していくことで競技パフォーマンスが今まで以上に向上してよりよい成績に導くのがプロのトレーナーの仕事と思っています。
その見えない景色までも視野に入れて更なる喜びを経験させたいと願っています。
再び競技できる喜び
練習だけでなく公式の試合に出場し初めて完全復帰ということとなります。
再びステージに上がることができるということは誰でも嬉しくやり甲斐や生き甲斐を実感できる瞬間です。
試合に勝つか負けるかの勝敗は相手あっての結果なので、結果としてついてこないこともあるかと思います。
まずは競技復帰をコンプリートした自分自身を褒めて欲しいです。
仲間やサポートのありがたさを実感
今までの苦労が走馬灯のように駆け巡るかと思います。
そんな時に仲間や家族の支えが感謝できると思いますし、人間として大きく成長できている証拠です。
そんうちの1人としてリハビリを対応した指導者にも少しでいいので感謝してもらえれば我々メディカルとして対応しているものの喜びとやり甲斐になって大きな原動力をこちらもいただけるわけです。
怪我から乗り越えた人間力を競技に活かす

大きな怪我をして挫折感を味わい手術という道の領域の不安の中、リハビリから競技復帰したその努力した姿は大きな財産となりあなたの人生においてストーリーとして語れその後の逆境にも対応できるメンタルの強さが備わっていく土台となるはずです。
怪我の前よりも土台の安定感
怪我をした経験を競技に生かしてほしいです。
競技力は土台となる基礎がその後の応用テクニックの幅をもたらすので、リハビリ期間だからこそ強化できる点、強みと弱みをプラスに変えて安定したパフォーマンスに繋げてもらいたいと願っています。
怪我を克服した自信
競技復帰する頃には成功体験によって大きな自信も生まれてくている点があるはずです。
その自信をあなた自身とチームメイトにも良い刺激を与えて全体の相乗効果につながれば尚良いことです。
怪我をして失った事をそれ以上に得られるようなマインドを持ち続けていけば、その後の人生に大いに役立てることができるはずです。
怪我前よりもパフォーマンス向上を目標として
私は実際にプロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動しているプロトレーナーです。
競技復帰させることは役割ですが、怪我の前よりも良いパフォーマンスを発揮させることが本来の選手の望みであり、我々の使命だと思っています。
怪我で引退を決断させないをモットーに日々精進して選手に対応し、今まで怪我で引退を決断させたことなく対応できています。
トレーナーにもレベル差・技術差は生じてしまいますが、想いは同じく選手に最善を尽くして導きたいと思っています。
それにはあなたの努力の継続も必要になってきます。
怪我の経験から得た人間力を競技に活かす
怪我をしてパフォーマンスがどうしてもダウンしてしまうケースもあるかもしれません。
しかしまた別の役割や職人技が身についていることもあるかもしれません。
怪我をしたことで周りから人間性も含めて大きなプラスの変化をしたと言われる選手になってほしいものです。
そして同じ怪我をして悩んでいる選手がいたら良きアドバイスを伝えてあなたの経験値を活用してほしいものです。
まとめ
今回、前十字靭帯損傷後のメンタルケアとマインドセットというテーマで解説しました。
【まとめ】
・前十字靭帯損傷は手術とリハビリで競技復帰できます
・怪我をして絶望感からどう脱出して次なるステップにスイッチを入れるか
・競技復帰に際してポジティブにマインドセットして取り組んでいくか
・本当に復帰できるのかという不安要素に対応するためのモチベーション維持向上
・日々リハビリに取り組む努力を継続していくと体の成長を実感していく境界線と手応え
・順調から停滞期となる80%以上に向上させるイメージと体のギャップへの焦りとイラダチ
・競技できる喜びと周りへの感謝の気持ちで人間力向上
・医科学の知識と経験値を活かしたこれまで以上のパフォーマンス力を得て完全復帰へ
前十字靭帯損傷という大きな怪我をすれば絶望感や挫折感、不安感などネガティブな思考が大きく膨れ上がります。
自分自身で解決できること、解決できないことも実際に起こってしまいます。
仲間の力や家族のサポートは大きな原動力となります。
しかし、自分自身が変化して思考や行動をポジティブに向かっていくことで大きな変革に移行します。
そのためには引きこもる、距離をおくということも仕方がないですが、刺激をもらう、専門家に対応してもらうことでも価値観が変わってきます。
前十字靭帯は期間は必要ですがしっかりとやるべきことを行えば競技復帰できます。
この記事がポジティブな行動のきっかけとなれば嬉しい限りです。
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