テーピングの技術を習得したいと思っている方はこの技術習得の4段階のステップアップを理解していないと選手が納得してくれるテーピングにたどり着くまでに大きな時間のロスをしてしまいます。
テーピングの技術習得にはやはり時間がかかるものです。
いかに努力を継続するかも上達に必要なこととなります。
ただ努力をしてもそのやり方が間違っていたら上達へはむしろ悪い癖となり弊害となってしまいます。
良い手本を見て真似て努力を継続することが技術習得の近道となります。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動して24年間となりました。
毎日プロ選手にテーピングを巻いていますし、テーピングの指導もしています。
テーピング講習会も実施しています
テーピングは独学になりがちなスキルであります。
テーピングはどうしても1人で練習ができない事、練習に費用がかかってしまうことなど弊害となることも多い現実があります。
ただしプロとして現場で活動するにはテーピング技術の正確性やスピードも求められます。
どのように技術が上達するのか、効率的な学習方法もあります。
今回はテーピング技術習得の4段階というテーマで解説していきます。
目次
テーピングの技術

テーピングには基礎技術と応用テクニックとあり、まずは基礎となるテーピング技術の土台をいかに積み重ねるかでその後の応用テクニックの精度や質に影響していきます。
テーピングの技術として
①テーピングを選ぶ技術
②テーピングを切る技術
③テーピングを巻く技術
と大きく分けると3つに分類できます。
テーピングは
・テープを引き出す
・テープを巻く
・テープを切る
という動作の繰り返しになります。
①テーピングを選ぶ技術
テーピングにもたくさんの種類のテーピングがあり選手の症状やニーズによってどのテーピングを使えばいいのかが変化します。
テーピングの種類として
・アンダーラップ
・ホワイトテープ(非伸縮)
・伸縮ソフトタイプ(手で切れる)
・伸縮ハードタイプ(手ではきれない)
・キネシオタイプ(肌直接貼る)
基本的なテーピングだけでもこのようにたくさんあり、さらにサイズが各種あります。
どのテーピングを使えば症状に対して最もマッチングするかを選ぶことも技術となり知識としても必要になります。
②テーピングを切る技術
テーピングを初めて扱うときに最も難しいのがテーピングを切ることです。
ホワイトテープを切る際に瞬間的な力と角度が大切になり切ることが難しいと実感します。
これは私がテーピング講習会を開催する際にテーピングを切ることがうまくできない方がほとんどです。
基本的な切り方はできても実際に活用する際に数種類の切り方を実施しますが、そもそも学校での授業等でテーピングの切り方を教わっていないという方がとても多い現実があります。
切ることがスムーズにできるからこそ、次の動作に移行できてテーピングを巻くスピードも上がっていきます。
テーピングを切るというテクニックを身につけていない方がとても多いと実感しています。
さらにテーピングは手できれないテーピングもあります。
その時はハサミを使って切りますが、ハサミの扱いもテクニックがあります。
③テーピングを巻く技術
この領域がとても幅の広い分野です。
・テープを引き出す技術
・テープを巻く走行
・テープを貼る角度
・テープの圧力
・テープを巻く際に注意すべき点
このようにテーピングを巻く技術はとても奥が深い要素です。
大きな問題となるのが基礎ができていないのにテクニックに走ってしまう方が圧倒的に多いことです。
技術というものは基礎があっての応用となり、アレンジとなります。
ベースがないは型なしで応用してもレベルが低いものとなってしまいます。
テクニックに走ることで我流となり、結果的に遠回りとなってしまう方が多いことが現実でもあります。
技術習得の4段階

技術習得には4つの段階がありそのステップを踏んでいくから上達して習得していきます。
ここを理解していないと中途半端でトップレベルでは通用しない技術で止まってしまいます
いかに良い手本を見て真似て努力を継続するかということが技術習得につながっていきます。
Step1:知らないから知る
初心者であれば知らなくて当たり前です。
何が必要で、どういったことがあるのか、まずは知ることからスタートとなります。
それには知識として知れることもあれば普通では知ることすらできないプロのレベルのスキルもあります。
動画を目で見て知る、現場で直接見て知る、人から聞いて知る、質問して知るなど知るということも自分から情報を入手するための行動を起こすことで得れるものです。
Step2:知っているけどできない
次の段階がその技術は知っているけど自分ではできない状態です。
『テーピングなら足関節のテーピングは知っているけどアンダーラップを巻くことができない。』
こんな状態でしょう。
そのためには練習する必要があります。
練習してもテーピングでは上記の例を参考にすると以下のような点があります。
・アンダーラップの巻き順が分からない
・アンダーラップをどのくらい引っ張ればいいのか分からない
・アンダーラップが丸まってしまう
このような壁が待ち構えています。
この時にただ巻いて練習すれば上手に巻けるようになれるのか?
練習してもそもそも正しい情報がなければその時間が無駄となり、さらに悪い癖がつけばマイナスになります。
正しい情報を入手して練習することによって上達する効率性も得られるわけです。
Step3:意識すればできる
正しい情報を得ればあとは練習することです。
テーピング技術習得には天才やセンスなどは関係ありません。
誰でもからなず上達できるのがテーピングです。
良い手本を見て真似て努力を継続すること
いかに反復練習するかがポイントです。
技術習得には神経と筋肉を結びつける必要があります。
意識すれば丁寧に巻いてアンダーラップを完成させることができるレベルに到達できます。
ここからさらに徹底して練習することが最も大切なのです。
意識すればできるレベルで「上手くなった、もう巻けるようになった」と思って練習をやめてしまうと技術の定着がされずに時間が経過することでそのスキルはレベルダウンしてしまいます。
Step4:無意識でもできる
意識してできるようになってから徹底して練習を繰り返すことで正確性と安定性が増加して身になり、技術の定着へとなっていきます。
ここまで徹底することが技術習得したという領域になるわけです。
スポーツだと小学生から毎日のように競技の技術を習得するために反復練習を徹底していたのにテーピングだとそれができないわけです。
・教えてくれる環境がない
・テーピングの練習はパートナーが必要
・テーピングは使い捨てのアイテム
・練習に費用がかかってしまう
このような理由があってテーピングの反復練習はしずらい環境であります。
ここをいかに環境整備するか、行動するか、自己投資するかということです。
極める領域へと
さらに技術習得からプロの領域に行くと、こだわりや追求するようになります。
技術の最高峰は美を意識するかです。
うまい人のテーピングはずっと見ていられます。
見ているだけでも清々しくなり何度も見返したくなります。
魅せる技術、巻いてもらった装着感、巻かれた綺麗さが美を意識するというレベルであり、このマインドになると匠の領域というわけです。
テーピングの技術は一度身につければ長期的に活用できるスキルです。
選手に巻くこと、講師として指導することもできます。
スポーツ障害は今後も起こりうることで、テーピングを巻けるようになると通常では競技できないレベルの状態を可能にすることができるようにもなります。
独学に走ってしまうデメリット

テーピングの技術習得で多いのが独学に走ってしまうことです。
これは私自身が独学に走ってしまい大きな遠回りをした経験と挫折をした経験があるのでわかる点です。
テーピングはしっかりと教えてもらえる場所がなかなかない点が大きな影響となります。
テーピング講習会や授業では1日2-4時間程度で多くの人数での内容となり、徹底して学べる環境とはなりにくいものです。
技術は徹底した反復練習が必要となるのでこのあたりが現実的ではないことも大きな溝となってしまうわけです。
しかし独学によって私はアンダーラップを完成するまでに3年間かかってしまい、選手にダメ出しされてテーピングを巻く恐怖症にもなったことがあります。
ですから独学では以下のようにデメリットがあるということは理解すべきです。
1.時間のロス
2.正解が分からなく迷走
3.基礎がない
4.持続できない
この辺りを理解してそれでも独学がいいのであればトライしてみてください。
1.時間のロス
独学で学ぶことで最もロスになるのが時間です。
技術習得には短期集中して徹底した反復練習によって神経と筋肉を結びつけて無意識でできる領域に持っていくべきです。
テーピング技術を習得したい方はアスレティックトレーナーや治療家の方が多いかと思いますので、他にも学ぶべき知識や技術があるわけです。
時間のロスは大きな機会損出となってしまいます。
私自身3年間の時間のロスを痛感しています。
本当にもったいなかったと思っていますが、時代的に学べる環境がなかったという点はしかたなかったとも思っていますがその分他の事に時間を使えたなと思っています。
2.正解が分からなく迷走
独学では自分が取り組んでいることが正しいのか間違っているのかもわからなく雲がかった状態で手探りで進むわけです。
気づきや指摘を得ることでフィードバックされて進むべき方向性も見えて効率性にもつながります。
しかし独学ではここが分からず自分の知識の領域でしか発想できない限界となってしまうわけです。
答えを知っている人からアドバイスをもらう方が進むべき道が分かりあとはタスクとしてこなしていくことで技術習得が飛躍していくのです。
3.基礎がない
技術は基礎がしっかりしていることで応用が効き、スキルアップのジャンルとレベルが向上するものです。
独学では自分自身の中での発想でしかなく、ある特定の分野では特化できても、別の分野では初心者レベルというスキルのばらつきができてしまいます。
そのことで自分自身の可能性が半減してしまい、バランスが悪く結果的に基礎からやり直しとなってしまうケースも多いものです。
プロのトレーナーとして活動している方でも基礎がなく、発想が狭く、応用テクニックを指導したくても、基礎がないために教えられないという方が実際にいました。
その方のレベルを向上するには基礎から全てやり直す必要があり、徹底して基礎を反復練習してもらい、今ではプロとしてもハイレベルに対応できるようになっています。
3ヶ月間徹底するだけでも別人となり、ハイレベルな思考となるわけです。
独学では得れない領域があります。
4.持続できない
独学ではモチベーションを維持することも難しい点があります。
テーピング等の技術習得はいかに努力を継続できるかです。
アドバイスや気づきを得るには答えを知っているレベルの方の助言が必要です。
モチベーションにも向上心や反骨精神などありますが、自分が行動して経験してテーピングを巻いた際にフィードバックしてくれる方の存在が大切となります。
それには自分よりも経験値やスキルのレベルが高い方、自分が目標としているレベルで活動している方からの直接指導してもらえる環境がとても大きな財産となって技術習得の効率性やモチベーションアップに繋がります。
自分1人では気付けない事があり、知らない領域があり、さらなる世界観があるというわけです。
気づきと指摘

独学ではなかなか得ることができないことは多く、その結果遠回りとなって時間のロスだけでなく、挫折して諦めてしまうことにも繋がります。
いかに自分自身のマインドを良い状態に保って進めるか、それには仲間がいると心強いし指導者がいると成長速度が増加します。
自分の知識の中での想像
独学の項目でもお伝えしましたが自分1人では経験値も含めて想像の範囲内でのイメージしかできません。
あなたが目標としているレベルで活動したいのであればその現場で活動している方や活動していた経験のある方から現場を見たり、話を聞いたり、テーピングのスキルを見たり、実際に巻いてもらうことで大きな違いを実感でき、想像よりも細かい点にアプローチしている点や考え方を知る機会となります。
いかにハイレベルな方から指導してもらえるかで一気に飛び級してそのステージで対応できるスキルを身につけられるようになるものです。
教えを受ける方のレベルによって習得できるレベルや技術が異なって現場で使えるテクニック、応用やアレンジできる思考を構築できるわけです。
テーピング技術を向上させるにはフィードバックがとても重要となるのです。
限界の把握
自分自身の独学では限界を感じるものです。
近年Youtubeなどの動画でもテーピングを投稿している方は多いです。
私もInstagramでテーピング専用のアカウントで情報発信をしています。
ただ、テーピングの動画を見ても技術として習得できる方はハイレベルな方です。
いくつか解説を聞いて動画を見ても自分自身が実際にテーピングを巻いて、その巻いているシーンに対してフィードバックされないと経験値としての収穫はなかなか得にくい現実があります。
新たに気づき、指摘、修正ポイントが確認できるから次へと向上するわけです。
高い水準での成長速度
テーピング等の技術はハイレベルの方から習えということです。
圧倒的に成長速度が異なります。
そのためには指導者と出会うための行動を起こすことです。
現在は大変便利な時代です。
全く知らなくてもSNSでDMを送れば接点が結びつける可能性がある時代です。
迷っているなら連絡してみるだけでも一歩前進です。
次につながり大きな転機になることもあります。
まとめ
テーピング技術習得に必要な4段階のステップアップとして紹介してきました。
テーピングの技術習得は壁となる点が多いことも影響して、技術習得しづらい領域です。
だから差別化ができ、権威性を得やすい分野です。
本気でテーピング技術習得を志しても幾度と壁にぶつかって諦めてしまう方も多いです。
テーピングの技術はテーピングの種類は多くなってはいますが、昔から技術としては大きな変化はなく、今後も流行り廃りもない分野です。
徹底して技術習得することで新たな可能性も広がっていきます。
テーピングは痛みをコントロールしたり負担を軽減したり、治療やリハビリと合わせて対応することで相乗効果が生まれ早期復帰や継続的な競技活動にも行えます。
テーピングスキルは奥がとても深い領域でもあり、技術習得することで大きな財産となり生活の安定にも繋がっていきます。
あなたのテーピングで選手が活躍して、信頼してくれると大きな財産となり、やり甲斐へと繋がっていきます。
この記事がテーピング技術習得をしたい方の参考になれば幸いです。